四月は君の嘘
これは新川直司の同題コミックを、広瀬すずと山崎賢人のＷ主演で実写映画化したもの。
監督は「潔く柔く」の新城毅彦。
正確な演奏で“ヒューマンメトロノーム”と呼ばれた天才ピアニスト、有馬公生。彼は母の死をきっかけにピアノを弾くことが出来なくなっていた。
公生が高校２年となった春、幼なじみの澤部椿に誘われた彼は、ヴァイオリニストの宮園かをりと出会う。
かをりの自由奔放な性格そのままの演奏に圧倒された公生は、かをりに言われるままに彼女の伴奏者として再びピアノに向き合うのだが……
広瀬すずに山崎賢人と言う盤石のキャストによる、コミック実写化。原作コミックは少年誌連載でしたが、内容としては山崎賢人が“王子様”キャラを演じる少女マンガ的な世界観で、しかも難病もの、と言う狙い過ぎとも言える企画のこの映画。予告編でも大分内容を見せてしまっている上にオープニングの語りで、かをりが既にこの世にない事が判ってしまうのですから、物語も概ね予想のつくもので……しかし、それでも幾度か泣かされそうになったのですから、これは強力。
邦画にありがちな、台詞で説明し過ぎて画面見なくても展開が充分判ってしまう、と言うバリアフリーな作りなのが気になりますが、これは、この種の青春ラブロマンスとしてはよく出来ている方ではないか、と思います。
また、広瀬すずの、溌剌としてキラキラ輝く存在感は正にコミックスから抜け出して来たようで、これは確かに一見の価値あり。現時点で若手Ｎｏ．１の存在なのは文句ない所でしょう。
物語としては、公生が母の死を乗り越えて進む、と言うのが骨子となるのですが、母の、子を想う愛情と言う本心を厳しさと言う嘘で覆われたのに気づかなかった事で傷ついた公生が、本心を嘘で隠したままで世を去ったかをりの死によって再び躓くのではないか、と心配になります。
確かに、うじうじした少年が築いた心の壁を少女がぶち壊して行く、と言う狙いは判るのですけど、これはちょっと、かをりと言う少女を、都合よく描き過ぎてはいないか？と思ってしまいました。
（２０１６年 ９月１１日 横浜ブルク１３にて）
（作品データ）
■監督
新城毅彦
■出演
有馬公生 ・・・ 山崎賢人
宮園かをり ・・・ 広瀬すず
澤部椿 ・・・ 石井杏奈
（その他のキャスト）
中川大志 甲本雅裕 本田博太郎 板谷由夏 壇れい
■コピー
それは、最も切ない嘘でした
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