ディアスポリス
ＤＩＲＴＹ　ＹＥＬＯＬＷ　ＢＯＹＳ

　これは、リチャード・ウーとすぎむらしんいちによるコミックを深夜枠のＴＶドラマとして実写化したものの映画版。
　主演は松田翔太、子役として活躍していた須賀健太が大きくイメージを変えて悪役を演じる事にも注目されていました。

　東京にいる密入国外国人は約１５万人。日本の行政機構に頼れない彼らは、自分たちを守る為に、密入国者の行政機構である裏都庁を作り上げた。裏都庁があれば裏銀行も裏病院もある。勿論、裏警察も存在する。
　その裏警察の署長、久保塚早紀がパーティーで騒いでいる最中、誘拐事件発生を知らされる。身代金を振り込み、現場に急行したのだが、誘拐された女性は殺されていた。
　犯人は、密入国した中国人の周と林。彼らはケツ持ちのヤクザ・横島も殺害し、アジア系犯罪組織「ダーティ・イエロー・ボーイズ」に加入しようとしていた。
　久保塚は、横島の所属していた組の若頭、伊左久からの情報を得て、周と林の足取りを追うのだが……

　この映画、予備知識が殆どなく、予告編だけを見て、面白そうだと期待をしていたのですが……映画は予告編でも紹介した程度の設定に触れた後、いきなり騒々しいパーティー場面と事件発生になだれ込み、どうなっているんだ？と。
　実はＴＶドラマで放送されたシリーズの劇場版だった、と言うのを後で知りましたが、正に後の祭りでした。
　面白そうな設定を活かせていないと思えた内容も、既にＴＶドラマでその辺りはやっているから、と言う事なのであれば仕方ない。

　ただ、そうした部分を差し引いても、この映画、出来はあまりよろしくない印象を受けました。
　最たるものは、この映画、久保塚は、周囲の人間とほとんどまともなコミュニケーションがとれていない……それも異邦人同士のディスコミニケーションを描く、と言うような内容があればいいのですが、そんな狙いがある訳でもないのに登場人物の殆どが、好き勝手に喋り、しかも人の言う事を聞いていない、と言う有様で、物語は進まないわ、苛々するわで……
　また、シーンが意味も無く長くてテンポは悪いし、アクションの見せ方、サスペンスの盛り上げ方も稚拙。撃ち合いやドツキ合い、取っ組み合いを見せればアクションで、大声でわめけば盛り上がると思っているような演出、それを延々と見せつけられるのにはうんざりしました。
　映画らしいスケールの大きさもなく、この内容なら、ＴＶのスペシャルドラマで見せるようなものと思います。　
　

　（年　月日　にて）

（作品データ）

　■監督

熊切和嘉

　■出演

　久保田早紀　・・・　松田翔太

　鈴木博隆　・・・　浜野謙太

　周　・・・　須賀健太

（その他のキャスト）
　柳沢慎吾　　康芳夫　　ＮＯＺＯＭＵ　　ＯＭＳＢ　　木原勝利　　宇野祥平
　松岡泰志　　安藤サクラ

　■コピー

裏切らねえのが、ケーサツだろ？　

　■Ｌｉｎｋ

http://www.dias-police.jp/　

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