イレブン・ミニッツ
これは、名匠、イエジー・スコリモフスキ監督が午後５時からの１１分間に起きる出来事を描いた群像劇スタイルのサスペンス。
ある日の夕方、自宅に戻って来たヘルマンは、妻で女優のアニャと諍いになるが、睡眠薬をシャンパンで流し込んで寝てしまう。その間に、アニャは映画監督との面接の為にホテルに向かった。
午後５時、そのホテルの前では刑務所から出て来たばかりの男がホットドッグを売っていた。若いシスターにホッドドッグを売った後、犬を連れた女に最後のホットドッグを売って店じまい。バイク便の配達員をしている息子を電話で呼び出した。
ホテルの中にはＰＣでポルノを観る男女、やがて男は窓の外の清掃ゴンドラに乗り込む。
その頃、１台の救急車が急に産気づいた女性の元に向かっていた。
そして、５時１１分。様々な人々の運命が絡み合い、迎えた結末は……
この映画、映画の中では１１分なのだけど、それを８つのエピソードで描き、合わせて８１分となります。
僅か１１分と言う中の出来事を、視線を変え、立場を変え、時に時間を巻き戻し、様々な切り口で見せながらマッシュアップしてひとつの映画とし、クライマックスにねじ込んでいくその手腕はさすがの豪腕ぶり。
しかし、予備知識なくとも盛り上げられる不安感の為に、最後に破滅が訪れるのは見え見えで、ある程度の予測がついてしまうのと、いたずらに超常を匂わせながらも、結果としては意味が無く、観客に“それ以上”を深読みさせてしまう思わせぶりが過ぎる演出も気になった所です。
物語の決着、確かに面白い着眼点ではあると思うものの、このオチだったら、思わせぶりに空を見上げていた“アレ”は何だったのだ？と思ってしまいました。
期待をし過ぎていた部分もあるのかも知れませんが、いささか技巧に走り過ぎ、“策士策に溺れる”感がなきにもあらず。見終わった後、少々物足りない感じでした。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
イエジー・スコリモフスキ
■出演
リチャード・ドーマー ヴォイチェフ・メツファルドフスキ パウリナ・ハプコ アンジェイ・ヒラ ダヴィッド・オグロドニック
アガタ・ブゼク ピョートル・グウォヴァツキ アンナ・マリア・ブチェク ヤン・ノヴィツキ ウカシュ・シコラ イフィ・ウデ
マテウシュ・コシチュキェヴィチ グラジナ・ブウェツカ=コルスカ ヤヌシュ・ハビョル
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