シークレット・アイズ
これは、アカデミー賞外国語映画賞を受賞したアルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」を、ハリウッドでリメイクしたサスペンス映画。
出演は「それでも夜は明ける」のキウィテル・イジョフォーに、ジュリア・ロバーツとニコール・キッドマンと言う大女優２人と言う豪華キャストとなっています。
２００２年、９．１１同時多発テロの再発に脅えるアメリカで、テロ対策合同捜査班の一員としてイスラム教モスクの監視にあたっていたＦＢＩ捜査官のレイは、監視対象のモスクに隣接する駐車場で発見された少女の遺体の確認に向い、少女が同僚のジェスの娘であるキャロリンと知ってショックを受ける。
レイは独自に捜査を進めて、ある男を容疑者として特定し身柄を確保したものの、テロ捜査の情報屋だった容疑者の有益性を重く見た上層部により釈放されてしまう。
――それから１３年。ＦＢＩを退職、警備の仕事をしながら独自に調査を進めていたレイは、釈放後、程なく行方をくらませた容疑者の所在を掴んだ、と合同捜査班の同僚で、密かに想いを寄せていた検事のクレアの元を訪れて……
この映画、サスペンス映画の体裁を取りながら、その根底にあるのは３人の男女が織り成す、事件や迷い、そして恋慕が人生を狂わせて行く様を描き出す人間ドラマ。なるほど、こうした奥行きのあるドラマに惚れ込み、リメイクを試みたのは判るものの、その仕上がりについてはいささか残念な出来と言えるのではないでしょうか。
過去と現在の時間軸を交錯させる展開は、主役３人が過去と現在であまり変わらない外観のせいもあって「何時の話だ？」といたずらに混乱を招いているだけのように思えますし、少女のレイプ殺人の映像を執拗に再現する展開や、盛り上がりのない会話シーンなども冗長に感じてしまい、どうにかならなかったのか、と思ってしまいました。
また、少女レイプ殺人と言う悲惨な事件と“身分違いの恋”と言ういささか時代がかった悲恋を組み合わせたドラマを、噛み合わせる工夫が足りず、なんとも中途半端で居心地の悪い印象となっているのも勿体ない所です。
ただ、実力あるキャストを揃えているだけに見せ場の方はなかなか。
ニコール・キッドマンは、お馴染みの美貌に加えて今回はエロさも濃厚――しかし、あんなにグラマーだったかなぁ。もっとスレンダーな印象だったけど――特に、容疑者を逆上させてオトすシーンで見せる、ビッチぶりには流石の一言しかありません。
ジュリア・ロバーツは、こちらは年齢相応の老け顔で、特にある決断によりやつれ、笑顔を失った様子もまた見事。
キウィテル・イジョフォーはそんな大女優の競演を受け止める懐の深さを見せて好印象です。
終盤に明かになる事件の真相とその結末はいささかエグいものではありますが、それでも誤りを正してやり直す事が出来る、と言う希望を滲ませたもので、それが救いなっていますが……３人の男女の失われた１３年を考えると後味はあまりよくありません。その辺りも、もう一工夫欲しかったように思いました。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督・脚本
ビリー・レイ
■出演
レイ・カステン ・・・ キウィテル・イジョフォー
ジェシカ “ジェス” ・コブ ・・・ ジュリア・ロバーツ
クレア・スローン ・・・ ニコール・キッドマン
（その他のキャスト）
アルフレッド・モリーナ マイケル・ケリー ジョー・コール ディーン・ノリス ゾーイ・グラハム
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１３年もの間、ＦＢＩをも欺き続けた、切ない真実とは――
■Ｌｉｎｋ
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