セトウツミ
これは、男子高校生２人が川原でおしゃべりするだけの此元和津也による同題マンガを、池松壮亮と菅田将暉の主演で実写映画化したもの。
監督は「まほろ駅前多田便利軒」の大森立嗣。
関西の市街を流れる川辺で、高校生の瀬戸と内海は、放課後にだらだらおしゃべりをしている。
やや天然の元サッカー部の瀬戸と、ガリ勉メガネの内海……決してウマが合いそうな２人ではないけれど、放課後、瀬戸が塾に行くまでの時間をたわいない会話で埋めるだけの関係が続いていた……
主演の池松壮亮と菅田将暉は、原作マンガの雰囲気を忠実に活かしており違和感なし（さすがに、池松壮亮に高校生役は厳しいのでは、と思いましたが、このマンガの内海自体、ちょっと高校生離れしているので……）。
２人の話す関西弁も自然です――まぁ、菅田将暉は大阪出身なのでネイティブですが。
この原作マンガは１話完結で、ただ２人が川辺で会話するだけの内容。これでマンガとして成立するのか？と疑問に思う動きの少ない会話劇ですが、映画は、変に脚色する事なく原作マンガの１話を１０分ほどのエピソードにまとめ、それを８つ描くオムニバス風の構成としています。
それが映画たり得るのか、と言うと、これがなかなかしっかり映画となっているのだから大したもの。
たあいない会話ではありますが、そこはさすがに関西人。会話にはきっちりオチをつけますし、内海のクールなツッコミも面白い。その中に人情の機微を絡め、高校生らしい悩みや人間関係も描き、そして、それを演技達者な２人が漫才にならず、作り過ぎない範囲で、絶妙の会話劇にしてみせます。
確かに、心に響くようなドラマはなく、後に残るようなものもなく、勿論、感動もないけれど、正に内海が塾に行くまでの時間潰しに付き合うような内容で、この雰囲気は結構心地よい。
そして、だらだらさせる事なく、これを７５分でまとめた辺りも好印象でした。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
大森立嗣
■出演
内海 ・・・ 池松壮亮
瀬戸 ・・・ 菅田将暉
（その他のキャスト）
中条あやみ 鈴木卓爾 成田瑛基 岡山天音 奥村勲
笠久美 牧口元美 宇野祥平
■コピー
「喋る」だけの青春。
■Ｌｉｎｋ
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