アリス・イン・ワンダーランド
〜時間の旅〜
これは、ルイス・キャロルの「ふしぎの国のアリス」の実写映画版として２０１０年に製作された「アリス・イン・ワンダーランド」の続編。
主要キャストはすべて前作と同じですが、監督はティム・バートンからジェームズ・ボビンに交代しています。
映画は、あれから数年を過ぎ大人になったアリスが「ワンダー号」船長として、マラッカ海峡で海賊の襲撃を振り切る、と言う、いささか“らしくない”シーンから始まる。
そして、３年間の航海を終えロンドンに帰って来たアリスは、船を手放さなければならないと知らされて途方に暮れる。
そこに現れた青い蝶アブソレムに導かれ、アリスは再びワンダーランドへとやって来るが……
この映画、極彩色の世界観、登場するキャラクターはお馴染みのものですが、前作より６年を経てすっかり大人となったミア・ワシコウスカは既に少女とは言えず、物語はルイス・キャロルの小説から離れ、オリジナルのものとなりました。
ティム・バートン特有の毒気は消え去り、ディズニーらしい万人向けのファンタジーとなりましたが、“時間の旅”を中心に据えたこの物語、どうにもふしぎの国の話らしくないの気になる所です。
時間も空間も関係なし、支離滅裂な“ふしぎの国”に、「時間」と言う不変の物差しを持ち込んだ事がそもそもの間違いだったような……元々、「ふしぎの国のアリス」が持っていた、狂ってるとしか思えない奔放な世界観を、この映画は減殺してしまっているように思えるのです。
マッドハッターが過去の後悔に苛まれて塞ぎ込む、と言うのにも違和感がありましたし、そこからマッドハッターを救い出すのに時間を遡る、と言う展開が、どうにも“ふしぎの国”にそぐわない感があるのです。
また、時間旅行を繰り返し、「過去は変えられない」と思い知ったアリスが、その次の展開でも相変わらず過去を変えようとする……など、物語の辻褄が合わない処がそこここに見られる出ているのは残念だし、クライマックスもケレン味が効き過ぎた感じでした。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ジェームズ・ボビン
■出演
アリス ・・・ ミア・ワシコウスカ
マッド・ハッター ・・・ ジョニー・デップ
（その他のキャスト）
アン・ハサウェイ ヘレナ・ボナム=カーター サシャ・バロン・コーエン リス・エヴァンス マット・ルーカス
リンゼイ・ダンカン レオ・ビル ジェラルディン・ジェイムズ アンドリュー・スコット
リチャード・アーミティッジ エド・スペリーアス アラン・リックマン スティーヴン・フライ マイケル・シーン
ティモシー・スポール ポール・ホワイトハウス バーバラ・ウィンザー
■コピー
ワンダーランドの“秘密”は<過去>に。
■Ｌｉｎｋ
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