| サブイボマスク |
これは、ＦＵＮＫＹ ＭＯＮＫＥＹ ＢＡＲＹＳのボーカルだったファンキー加藤の初主演映画で、地方再生を舞台にしたヒューマンドラマです。
製作は蛙男商会の「鷹の爪団」アニメで知られるＤＬＥ。
ひたすら真っ直ぐな熱血男児・春男が生まれ育った田舎町の商店街は、今やすっかり寂れシャッター街と化していた。
そんな商店街をどうにかしようと、青年団で商店街の再生に取り組む春男は、思い悩んだ挙げ句に、覆面レスラーだった父の遺したマスクを被り、謎の仮面の歌手「サブイボマスク」を名乗ってひとりライブを始める。
そんな商店街に、春男の幼馴染みで、東京で夢破れてバツイチ子連れとなった雪が戻って来て……
この映画、松岡修造の劣化コピーのような暑苦しい男を、演技経験の少ないファンキー加藤がぎこちなく演じる前半はかなり寒い出来。挿入されるＤＬＥならではのアニメも効果的とは言えず、ギャグも不発、と映画全体にいい所がなく、久しぶりに席を立ちたくなるほどの悪印象でした。
それでもファンキー加藤は、ステージ（例えそれがビールケースの上であっても）に立ち、マイクを握れば本領発揮。
力の入った歌唱シーンは確かに「感動のサブイボ」もので、歌が引っ張る中盤以降は大分印象が好転しましたが……それでも、動画配信など現代のトレンドを取り入れているとは言え、話題となり人が集まれば町が活性化し、地方再生する、と言うお手軽過ぎる展開は何時の時代の映画か、と思う程でしたし、その程度の盛り上がりで町の予算を５倍増すると言う県行政、と言うのも失笑もの。
結局、ファンキー加藤の“熱くて真っ直ぐ”と言うイメージを活かしたサクセスストーリーを……と言う考えで作られただけ、と言う印象を与えるもので、こんな安易に地方再生が出来るものなら誰も苦労はしないし、地方再生などこの程度のものだ、と言う東京者の驕りさえ感じられる、と言ったら言い過ぎでしょうか……？
そして、この映画、痛かったのは映画公開に重なったファンキー加藤の不倫騒動。
その裏表のない真っ直ぐな男のイメージ崩壊は余りに痛く、各種宣伝を自粛したせいもあって、劇場の客の入りも寂しいもの。
映画の出来に加え、この有様では、正に泣きっ面に蜂、と言う所でしょうか。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
門馬直人
■出演
春雄 ・・・ ファンキー加藤
雪 ・・・ 平愛梨
権助 ・・・ 小池徹平
（その他のキャスト）
温水洋一 斉木しげる いとうあさこ 小林龍二 泉谷しげる
甲斐愛鈴 加冶屋凛
■コピー
ウザイ、サムイ、空気ヨメナイ……
■Ｌｉｎｋ
［戻る］