ＤＥＡＤＰＯＯＬ
デッドプール
クソ無責任ヒーローですけど、何か？

　これは、マーベル・コミックスの映画版で「Ｘ−ＭＥＮ」シリーズのスピンオフに相当するもの。
　主演はライアン・レイノルズで、監督は本作がデビュー作となるティム・ミラー。

　元傭兵のウェイドは、今やトラブルシューターとして気ままな暮らしをしていた。
　そんなある日、娼婦のヴァネッサと出会ったウェイドは２人の相性のよさに運命を感じ、結婚する事になる。
　だが、幸せは長くは続かず、ガンを告知され、余命の短い事を知らされたウェイドは「ガンを治癒する」と言う、怪しげな人体実験に応募。ガンは治癒し、不死身の肉体をも手に入れたが皮膚がただれた醜い姿となってしまう。
　さらに、兵器として売り飛ばされそうになったウェイドは、自分が騙されていた事を知り、施設から脱出し、その恨みを晴らすため、赤いコスチュームを身に纏って“デッドプール”を名乗り、実験を施した男、エイジャックスを追うのだが……

　この映画、ディズニー傘下となって更にお行儀がよくなってしまった「アベンジャーズ」世界のマーベル作品とは一線を画す、チョイ悪大人向けのヒーロー映画です。
　もう、人はばんばん殺される、ヴァネッサとのセックスシーンもたっぷり、戦闘中のおっぱいポロリなんてのも描かれるのですから、子供に見せるものではありません。
　また、マーベルのヒーローは概ねよく喋りますが、このデッドプールもスパイダーマン並に戦闘中も喋りまくる。それも、相当に下品で不謹慎な事を言って事を言ってます。しかも、時に“第４の壁”を超えて観客にまで語りかけて来るのですから、この映画のノリと言うのが判る、と言うもの。　
　まぁ「Ｘ−ＭＥＮ」世界のサイドストーリーと言う事で、こうしたキャラクターと内容が許されたのでしょうけど、これは正直、際物でしかありません。
　それにしても、こんなデッドプールを演じたくて１１年間も奔走していた、と言う主演のライアン・レイノルズも物好きな男です。
　勿論、それだけ熱望してだけに、しっかりと役作りもして来ましたし、不死の肉体と再生能力を活かしたアクションにも見応えがあります。確かに規模は大きくないのですが、らしさをしっかり描いてまとめ上げた、と言う点で、ライアン・レイノルズ主演で大コケした「グリーン・ランタン」とは大違い。面白いアクションとなっています。
　
　そんなふざけた映画ですが、その裏にあるのは、意外な程に純情で、殆ど演歌の世界とでも言うべきベタな恋愛ドラマ。
　こんな成りじゃ彼女に合わせる顔がない、と彼女を影で見守り続ける男に、男を信じて最後には「顔じゃない、心に惚れたの」と言う女……そんな赤面モノのピュアなラブストーリーを、赤いマスクの裏に隠しているのです。
　そんな二面性も、この映画、このヒーローの魅力ではないでしょうか。
　

　（年　月日　にて）

（作品データ）

　■監督

ティム・ミラー　

　■出演

　ウェイド／デッドプール　・・・　ライアン・レイノルズ
　ヴァネッサ　・・・　モリーナ・バッカリン

　エイジャックス　・・・　エド・スクライン

（その他のキャスト）
　Ｔ・Ｊ・ミラー　　ジーナ・カラーノ　　ブリアナ・ヒルデブランド　　レスリー・アガムズ　　カラン・ソーニ
　ジェド・リース　　スタン・リー　ステファン・カピチッチ

　■コピー

呼んだ？　

　■Ｌｉｎｋ

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