復活
RISEN
これは、イエス・キリストの処刑と復活を描く歴史ドラマで、イエスの処刑に立ち会った軍人が、墓から消えたイエスの死体を追ううちに、その真実を知ると言う一風変わった作りとなっています。
監督は、「恋に落ちたシェイクスピア」など良質の映画を送り出す事に定評のあるケヴィン・レイノルズ。
西暦３３年、エルサレム。
ローマ軍人のクラヴィウス将軍は、総督のピラトに呼び出され、大衆より“救世主”と崇められる男の処刑立ち会いを命じられる。処刑されたのはナザレのイエス。念のために槍で突いてとどめを刺し、遺体は彼の支持者に下げ渡され、墓に埋葬された。
だがその翌日、墓からイエスの死体が消えた。「救世主が復活した」と大衆を扇動しようとする支持者が死体を盗み出したのではないか、と疑うピラトは、死体の捜索を命じ、クラヴィウスは死体を追って捜査を始めるのだが……
この映画、イエス・キリストの起こした奇跡とキリスト教の誕生を描く宗教映画なのですが、この映画オリジナルの登場人物であるクラヴィウスと言うローマの軍人を主人公にしているのがアイデア。
キリストに帰依していないローマの軍人の視点から見る事で、聖書の中で奇跡として語られるエピソードを、不可思議な事件として捉え、それを解き明かして行くミステリー的な仕掛けもされているのも面白い所ですし、通常であればひとつのクライマックスとなるイエスの磔刑を、冒頭に持って行き、そこから始まる物語にしている構成も大胆。
映画としては小品で低予算。予算的にはＴＶシリーズのダイジェストであった「サン・オブ・ゴッド」よりもチープなのでは？と思えますし、主演のジョセフ・ファインズ以外は、知名度の高い俳優も出演していません。
ただ、その低予算故のスケールの小ささが、奇妙なリアリティを出しているのが面白い所。勿論、真面目に作られ、考証も確かなせいもあるのですが、確かに、ローマにとっては辺境のエルサレム。守備兵も少ないでしょうし、叛乱鎮圧の戦闘だって小規模なものだったでしょう。
また、イエスの磔刑も、処刑場所は薄暗い切り通しで、十字架の高さも低く、処刑は流れ作業で行われ、引き取り手のない死体は刑場の奥に放置される。そこには神々しさや崇高さもありません。
もっとも、イエスの復活以降は、聖書にある奇跡のエピソードの連発、クラヴィウスも帰依してしまいます。これはキリスト教の宗教映画としてやむを得ない所ではありますが、前半の真実を追うミステリー映画的な展開が面白かっただけに、最後までそんな部分を引っ張って、クラヴィウスに信者ではない第三者的視点を持たせ続けて欲しかったように思いました。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ケヴィン・レイノルズ
■出演
クラヴィアス ・・・ ジョセフ・ファインズ
イエス ・・・ クリフ・カーティス
（その他のキャスト）
トム・フェルトン ピーター・ファース
■コピー
百人隊長クラヴィアスは、その時何を見たのか？
■Ｌｉｎｋ
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