フィフス・ウェイブ
ＴＨＥ ５ＴＨ ＷＡＶＥ
これは、リック・ヤンシーのヤングアダルト小説を元にクロエ・グレース・モレッツ主演で映画化した、侵略ものＳＦ。
監督は、「アリス・クリードの失踪」のＪ・ブレイクソン。
突如地球の衛星軌道上に現れた異星人の大型宇宙船。人々はいつしかそれを<アザーズ>と呼んだ。
その侵略は第１の波“暗黒”に始まり、第２の波“崩壊”、第３の波“感染”、第４の波“侵略”と言う波状攻撃により、人類は、人口の殆どを失った。
そんな中で、生き残った女子高生キャシーは、生き別れた弟のサムに再会すべく、サムが保護された空軍基地に向かっていた……
この映画、「インディペンデンス・デイ」のような侵略もののＳＦパニック・サスペンスと思っていたのですが……映画を観ていると、これはちょっと違うようだぞ、と――これは、原作がヤングアダルト小説と言う事からも推察されるように、「トワイライト」や「ハンガー・ゲーム」のような、少女向けの内容。侵略ものＳＦの体裁をとってはいますが、その主眼となるのは、同じハイスクールの憧れのアメフト選手と、危うい所を助けられた年上マッチョの頼れる青年と言う２人男性の間で揺れる少女の恋心だったりするのです。
青年の水浴びするのを目撃して、その逞しい肉体にときめいてしまう……ってな描写からも、この映画のターゲットがどう言った層なのかは明確。
（本来この種のＳＦアクションを好む男性層を狙うのであれば、クロエちゃんのサービスカットを入れる所でしょう）
都市を圧する大型宇宙船のビジュアルがまんま「インディペンデンス・デイ」じゃないかとか、特殊なメガネを通して見ると<アザーズ>の正体が見えるのは懐かし過ぎるだろうとか、街を襲う津波の描写にも既視感があるとか、しかも、その津波が襲うのがバンコクで、撮影費用を抑えるのが見え見えだとか、そうした安普請の仕立ても、所詮は恋愛劇の背景なのだから、と言う事情を考えると納得出来ます。
ただし、Ｊ・ブレイクソン監督は、この映画でもなかなかの腕の冴えを見せ、この映画を女の子向け限定にはしていません。
「ハンガー・ゲーム」や「ダイバージェント」など、近年の類似作でうんざりさせられたようなベタベタな恋愛描写は控えられ、戦闘シーンの迫力やサスペンスの盛り上げもなかなか。物語の方も、ご都合主義的な展開は散見されるものの、違和感を感じさせた軍の行動が、伏線になっている（見え見えですけどね）など、思ったよりちゃんとしています。
クロエ・グレース・モレッツ主演には、アクションと、大人の観客を作品世界に引き込む演技が出来る女優を起用する、と言う目的が感じられ、ジェニファー・ローレンスを持て余していた「ハンガー・ゲーム」とは大違い。
物語としては、侵略者との対決も恋愛もまだまだこれから、と言う感じで、続編があるのが見え見えではありますが、この内容ならば続編にも期待出来そうです。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
Ｊ・ブレイクソン
■出演
キャシー ・・・ クロエ・グレース・モレッツ
（その他のキャスト）
ニック・ロビンソン ロン・リヴィングストン マギー・シフ アレックス・ロー マリア・ベロ
マイカ・モンロー ザカリー・アーサー トニー・レヴォロリ タリサ・ベイトマン リーヴ・シュライバー
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人類を滅亡に導く最後のＷＡＶＥとは――
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