| パディントン |
これは１９５８年に始まったイギリスの児童文学シリーズ「くまのパディントン」を実写映画化したもの。
イギリスの探検家が、暗黒の地ペルーのジャングルで、二足で歩き、人の言葉を話して文化的な生活を送るクマを発見してから数十年後……地震で住処を失ったクマの子が探検家を頼ってロンドンへとやって来た。探検家が残した赤い帽子と、スーツケースをぶら下げて……
大きな駅で途方に暮れていたそのクマと出会ったブラウン一家は、彼を駅名よりパディントンと名付け家に招くが、パディントンは早速トラブルメーカーぶりを発揮して大騒ぎを引き起こす。
一方、自然博物館の剥製係のミリセントは、ペルーから来た新種のクマの情報を聞きつけて……
この映画、半世紀以上前の物語設定を現代に持ち込んでいます。現在から数十年前に探検隊？とかペルーが“暗黒の地”？っては首を傾げましたが、そもそもが、直立歩行しヒト語を喋るクマの出て来る世界観だけに、まぁ、その辺りはツッコんでも仕方ないでしょう。
むしろ、子供向けでありながらも、パディトンがロンドンにやって来る理由を、先進国への憧れなどではなく、地震により住処を失った一種の“難民”として描き、異文化を受け入れる、と言うのはどう言う事か、と言う事を物語の骨子とする辺り、現在欧州が抱える問題を盛り込んでいて感心させられます。そして、それは多くの移民を受け入れて来た、イギリス、そしてロンドンと言う国際都市の懐の深さを表すものでもあるでしょう。
映画としては子供から大人まで楽しめるファミリーコメディの趣で、原色を多用しコントラスト鮮やかに仕上げた映像のせいもあって、絵本と実写が混ざり合ったような世界を作り出しているのも面白い。
また、ミリセントを演じるニコール・キッドマンが、ワイヤーで宙吊りになって侵入する、まるで「ミッション・インポッシブル」での元ダンナのような活躍を見せるなどアカデミー賞女優らしからぬ弾けっぷりを見せているのも見所でしょう。
（でも、「スパイ大作戦」のテーマはパディトン脱出シーンで流れるのですが）
“家”とは“家族”が暮らすもの、と言う思わず考えさせられる結論に辿り着く物語と言い、これは「子供向け」の枠に収まらない、なかなか見応えのある映画でした。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ポール・キング
■出演
パディントン ・・・ （声）ベン・ウィショウ
Ｍｒ．ブラウン ・・・ ヒュー・ボネヴィル
Ｍｒｓ．ブラウン ・・・ サリー・ホーキンス
ミリセント ・・・ ニコール・キッドマン
（その他のキャスト）
ジュリー・ウォルターズ ティム・ダウニー マデリーン・ウォーロール ジェフリー・パーマー テレサ・ワトソン
イメルダ・スタウントン マイケル・ガンボン サミュエル・ジョスリン マイケル・ボンド マット・ルーカス
ジュード・ライト ケイヴァン・ノヴァク ピーター・カパルディ エディ・ネスター イアン・ミッチェル ジム・ブロードベント
■コピー
きっと見つかる、もっといいこと。
■Ｌｉｎｋ
［戻る］