ビューティー・インサイド
これは、インテルと東芝が合作した広告用ショートフィルム「Ｔｈｅ Ｂｅａｕｔｙ Ｉｎｓｉｄｅ」を長編劇場映画に仕立て直したファンタジックな恋愛映画。
家具職人のキム・ウジンは、朝起きるたびに容姿が別人に変わってしまう特異体質の持ち主だ。このことを知っているのは、母親と旧友でビジネスパートナーでもあるサンベクだけ。
ある日仕事のため家具店に出かけたウジンは、店員のイスに恋をする。彼女に会う為に毎日の店に通うウジンだが、その度に見た目は別人になっているのだから、イスが意識するはずもない。ウジンはイケメン青年になったタイミングで、彼女をデートに誘って……
映画の中で中でひとりの人物を複数の俳優が演じるのは珍しくありませんが、この映画は空前絶後。何しろ、主人公のウジンを演じる俳優は１２３人。台詞がある主要な俳優だけでも２１人にもなるのですから……
日本からも結構重要な役で上野樹里が参加していますが、韓国映画で見た事のある俳優がこんな所で……と言うのはなかなか楽しいものです。
また、ヒロインのイスを演じるのは「監視者たち」で印象に残っていたハン・ヒョジュ。彼女、結構流暢に日本語を喋るのですが、これは「ＭＩＲＡＣＬＥ デビクロくんと恋の魔法」で日本映画にも出演していたからか……
原作のショートフィルムでは、外観が変わると言う障害を乗り越えて２人が結ばれる、と言う所で終わったそうですが、この映画、長編に膨らませる際に、“その後”を描くのを重視しました。
前半をドタバタギャグで盛り上げ、後半泣かせに入るのは韓国映画お得意のパターンではありますが、この映画も、映画中盤で結ばれた２人がある“問題”に直面して、悩み、それを乗り越えるまでが感動のドラマとして描かれます。
その“問題”とは、勿論、「毎日違う顔を見せる人物を愛せるか？」――今日、愛した人と、明日再会しても判らないのではないか、いや、明日会うのは果たして今日愛した人と同じ人なのか――？
勿論、その答えはタイトルに示されています――最も大事なものは心の中にある、と。
それでも、人はそう簡単に受け入れられません。
やはり、「見た目」は重要だし、その人をその人たらしめている要素、それは何なのか？……と言う、いささか哲学的なテーマに踏み込み兼ねない内容なのです。
映画はハッピーエンドで終わりますが、この映画が問いかける「私を形作るものは何か」と言うテーマにはなかなか考えさせられます。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ペク
■出演
ホン・イス ・・・ ハン・ヒョジュ
キム・ウジン ・・・ パク・ソジュン／上野樹里／イ・ジヌク／キム・ジュヒョク／ユ・ヨンソク
／パク・シネ／イ・ドンウク／コ・アソン／ソ・ガンジュン／イ・ポムス など全１２３人
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