これは１９６０年代に放送されたＴＶシリーズのスパイ・アクション「００１１ナポレオン・ソロ」を、ガイ・リッチー監督がリメイクしたもの。
　主演のナポレオン・ソロを「マン・オブ・スティール」のヘンリー・カヴィル、相棒のイリヤ・クリヤキンを「ローン・レンジャー」のアーミー・ハマーが演じています。

　冷戦時代の１９６０年代、東ベルリンに潜入したＣＩＡ工作員ナポレオン・ソロは、ＫＧＢの妨害を排除してドイツ人科学者、ウド・テラー博士の娘、ギャビーを西ドイツに脱出させた。
　実は、テラー博士がナチス残党に誘拐され、ある秘密施設で、これまでのものより製造の容易な新型核爆弾の製造に取り組まされていると言うのだ。核爆弾が完成したら大変な事になるし、新型爆弾の製造技術を手にしたものは冷戦下で世界の主導権を獲るだろう。
　共通の敵を前に、米ソは秘かに協力する事にし、ナポレオン・ソロはＫＧＢの工作員、イリヤ・クリヤキンとコンビを組ませられ、ギャビーと共に敵の秘密施設を突き止める任務を与えられて……

　「００１１ナポレオン・ソロ」と言えば、そのタイトルから想像つくように「００７」シリーズの人気にあやかって製作されたＴＶドラマですが……さすがに放送されたのが既に５０年近く前の事で、名前くらいしか知りませんでした。
　ちょっと調べてみると、ハンサムなプレイボーイのスパイが活躍する、と言うだけでは「００７」の亜流でしかないので、そこで、敵方のソ連スパイと手を組んで、と言うアイデアをシリーズ途中に追加して人気を呼んだ、とのこと。
　映画は、プロローグとなるエピソードでナポレオンとイリヤの２人を登場させ、このシリーズの特色である、米ソのスパイによる凸凹コンビの面白さを前面に出したものとなりました。
　
　タキシードを着込んだ色男のスパイが美女と色事を繰り返しながら……と言うイメージの「００７」シリーズが、「リアルじゃない」とか「古臭い」と言われて、現代を舞台にリアリティを増しハードボイルドな方向に舵を切った、その一方で様式美としての往年のスパイ映画を好む観客層もいるのも事実。先日公開された「キングスメン」もそうですが、これもまたそうしたニーズに応えたもの、と言えそうです。
　本作では、オリジナルドラマと同時代の１９６０年代、冷戦まっただ中のスパイ合戦華やかな時代を背景に、一種の時代劇として描いて現代にスパイ映画を復活させました。
　これはこれで面白い取り組みで、少々古臭さは感じさせますが、アクションや演出は現代のテンポのいいもの。当時のポップなファッションはむしろ目新しく、ハリウッド大作らしくしっかりお金をかけたゴージャスさもあって、なかなか面白く仕上がっています。

　ヘンリー・カヴィルは現在の「００７」シリーズのジェームズ・ボンド役を望んだものの「若過ぎる」と却下された事があるそうで、元々、こうした役が好きなのでしょう。ノリノリでナポレオン・ソロを演じていますし、ギャビー役のアリシア・ヴィキャンデルはキュートで愛らしい。
　最後に美味しい所をかっさらって締めくくったヒュー・グラントの活躍も期待出来る、次回作を早く観たい所です。
　

　（年　月日　にて）

（作品データ）

　■監督

ガイ・リッチー　

　■出演

　ナポレオン・ソロ　　・・・　ヘンリー・カヴィル
　イリヤ・クリヤキン　・・・　アーミー・ハマー

　ギャビー・テラー　・・・　アリシア・ヴィキャンデル

（その他のキャスト）
　エリザベス・デビッキ　　ルカ・カルヴァーニ　　シルヴェスター・グロート　　ヒュー・グラント　　ジャレッド・ハリス
　クリスチャン・ベルケル　　ミシャ・クズネツォフ　　ガイ・ウィリアムズ　　デヴィッド・ベッカム

　■コピー

史上最高にセクシーで、
史上最悪の相性の、
史上最強のスパイコンビ、登場。　

　■Ｌｉｎｋ

http://wwws.warnerbros.co.jp/codename-uncle/　

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