| ＰＡＮ ネバーランド、夢のはじまり |
これは、名作ファンタジー「ピーター・パン」の前日譚となる物語で、言わば「ピーター・パン：エピソード０」となる映画。
監督は、「つぐない」や「ハンナ」のジョー・ライト。
ピーター役には、リーヴァイ・ミラーで、やんちゃと繊細さの同居する、ピーター・パンに相応しい顔立ちです。
その他出演者もなかなか豪華で、敵役の“黒ひげ“役にはヒュー・ジャックマン、タイガー・リリーにはルーニー・マーラ。母親役にアマンダ・セイフリッド、人魚役にカーラ・デルヴィーヌと、僅かな登場シーンの俳優にまで名の知れた俳優をキャスティングしています。
第二次世界大戦下のロンドン。１２歳になる孤児のピーターは、母親が迎えに来る日を夢見ながら、親友ニブスらと孤児院で暮らしていた。
その孤児院では夜ごとに子供たちが姿を消して行く。何が起きているのだろう、と怪訝に思ったピーターが寝ずに気配を伺っていると、突如、空から現れた海賊船が子供たちを連れ去って行くではないか。逃げようとしたピーターも捕まってしまい、そして、海賊“黒ひげ”が支配するネバーランドへと連れ去られてしまう……
この映画、ファンタジーものとして映像は本当によく出来ています。
空を飛ぶ海賊船に、浮かぶ島、巨大な水球となって漂う海とその間を飛び交うトビウオたち……アクションの見せ場も多く、冒頭の海賊船ｖｓスピットファイアの空中戦（！）で手に汗握らせ、その後も海賊船同士の空中戦（！！）、海賊ものならではの縄ばしごとロープを使った剣戟も、現代風にアレンジされた見事なもの。
最近の映画として、ＶＦＸを活用するのは当然ですし、３Ｄを考慮して、奥行きのある場面構成と飛び出すような迫力ある映像を作っているのには、３Ｄ版を観ればよかったか、といささか残念な思いをしました。（鑑賞館では字幕版は２Ｄ上映しかなかったので……）
ただし、物語の方はちょっと物足りなかった、と言うのが正直な所。
確かにピーター・パンの物語では、「飛べる」力が、自分を信じる、前向きな心とされており、それと、少年が孤児・ピーターから、ピーター・パンになる、と言う成長物語と重ねて行く構成自体は真っ当なものではあるのですが、ドラマにもう少し重みと厚みが欲しい、と言う感じです。
また、ピーター・パンとフック船長、それにタイガー・リリーが仲良くしている、と言う構図には違和感と不安要素があります。何しろ、この先に、ピーター・パンがフック船長の手を切り落とす展開が待っている訳ですから……
物語的には、よく知られる「ピーター・パン」の物語の前に、もう１つか２つのエピソードが必要になりそうな感じですが……実写映画の辛い所で、劇場ＣＭ映像に登場するリーヴァイ・ミラーは既に大分大人びてしまっており、「永遠の少年」を演じるには、これからだとちょっと辛いかも知れません。
また、本国上映では、この映画「ファンタスティック・フォー」と並ぶ不発、と評されており、その点からも続編は難しいのではないでしょうか？
（既に製作済であれば別でしょうけど……）
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ジョー・ライト
■出演
ピーター ・・・ リーヴァイ・ミラー
“黒ひげ” ・・・ ヒュー・ジャックマン
フック ・・・ ギャレット・ヘドランド
タイガー・リリー ・・・ ルーニー・マーラ
（その他のキャスト）
アディール・アクタル ノンソー・アノジー アマンダ・セイフリッド キャシー・バーク カーラ・デルヴィーニュ
ナ・テジョ ジャック・チャールズ
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いちばんの魔法は、信じる気持ち。
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