アデライン、
１００年目の恋
これは、２９歳のまま歳を取らなくなった女性の数奇な人生を描くラブロマンス。
主演はブレイク・ライヴリー。これまであまり強い印象のなかった女優でしたが、本作の彼女は、やや古風な美貌と抜群のスタイルで、オールドスタイルの端正な姿から、’７０年代のポップなスタイル、そして現代の華やかなドレス姿まで披露し、まるで時代を越えたファッションショーのような様も楽しい。
１９０８年生まれのアデラインは２１歳で結婚し娘を出産するが、結婚８年目に夫と死別。その年の冬、事故に遭った彼女は奇跡的に助かるが、何故か年を取らなくなってしまう。
その後、怪しむ周囲と国家権力の目を避けるため、１０年毎に名前と住所を変えて暮らしていた。
そんなアデラインだが、ある年のニューイヤーズパーティーでひとりの男性を出会って……
「若さと美貌」は、多くの女性が望むもので、それを維持出来ると言うのは正に夢のような話でしょう。
しかも、「２９歳」と言う年齢設定が絶妙。実際、自称なら「２９歳から年を取らない」人は結構いるような……
ただ、欲求の完全充足が幸せには繋がらない、と言うのもまた物語の定石で、この映画も、アデラインの得た「永遠の若さ」が彼女の“人間らしい“人生と幸せと破壊してしまう様を描いて行きます。
女性の願望である、永遠の「若さと美貌」と、これまた女性の好むロマンティックなラブロマンスを組み合わせた、その内容から、その狙いはミエミエの感がある映画ですが、その出来映えはちょっとチグハグな感じです。
女性相手にするなら、アデラインの若さを生み出した理由にＳＦ的な小難しい解説は要りません。「神の雷が彼女に永遠の若さを与え、人の作った電撃が彼女を人たらしめた」で十分でしょう。
また、アデライン、地味な仕事と言う事で、図書館や資料館に籠もって仕事をしているのですが、それで蓄積された知識に１００年の人生経験が重ねられ、しかも健康な肉体と衰えていない頭脳を備えた、一種の“知的モンスター”になっているのです。この魅力的なキャラクターを、ラブロマンスのヒロインの枠に押し込めてしまうのは何とも勿体なく思えました。
このキャラクターならば、ＳＦアクションでも、サスペンスでも面白いものが作れそうな気がするのですが……
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
リー・トランド・クリーガー
■出演
アデライン ・・・ ブレイク・ライヴリー
（その他のキャスト）
ミヒル・ホイスマン ハリソン・フォード エレン・バースティン キャシー・ベイカー アマンダ・クルー
リンダ・ボイド ヒュー・ロス リチャード・ハーモン フルヴィオ・セセラ アンジャリ・ジェイ
ヒロ・カナガワ ノエル・ヨハンセン アーロン・クレイヴン プリモ・アロン クリス・ウィリアム・マーティン
■コピー
永遠の秘密が、彼女にはあった。
■Ｌｉｎｋ
［戻る］