パパが遺した物語
これは、「幸せのちから」のガブリエル・ムッチーノ監督が描く、父と娘の愛情と悲劇を描く物語。
１９８９年。小説家のジェイクは自動車事故で妻を亡くし、自らも重傷を負った。不幸中の幸いで同乗していた愛娘のケイティは無事だった。 母親を亡くした家で父と娘、ふたりの生活が始まったが、事故の後遺症で、ジェイクは不意に発作を起こすようになる。治療の為、ジェイクはケイティを義姉夫婦に託して入院する。こうした両親の不在がケイティの心にトラウマを残す事になった。
それから２５年後、大学院で心理学の博士号を目指して学びつつ、ソーシャルワーカーとしてカウンセリングを行っているケイティだが、彼女は深刻な問題を抱えていて……
この映画、なんとも豪華なキャストが特徴です。父・ジェイクをラッセル・クロウ、娘・ケイティをアマンダ・セイフリッドが演じ、義姉夫妻はダイアン・クルーガーとブルース・グリーンウッドが宛てられました。ジェイクのエージェントはジェーン・フォンダ、ケイティの上司がオクタヴィア・スペンサー。ケイティがカウンセリングをする少女役にはクヮヴェンジャネ・ウォレスと、アカデミー賞級の実力派俳優がずらりと揃っています。
物語は１９８９年の父と娘の話と、その２５年後、成長したケイティの話を、同時並行に交互に描いて行きます。
少女期の母親の喪失と父親不在が、ケイティの関係依存、そしてセックス依存症になる要因となり、成人したケイティを苦しめて行く……と言う物語の狙いは判りますし、実績のある監督と実力あるキャストにより、場面場面で見応えのあるドラマを見せてはいるのですが、全体としては語り口が拙く、構成も上手く噛み合ってないように感じられました。
脚本は本作がデビュー作となるブラッド・デッシュのオリジナルだそうですが、経験不足がそんな所に出ているようにも思います。
また、少女期のケイティの父親依存はいささか病的で、成長したケイティも余りに“面倒臭い女”なので、感情移入し難い部分があるのが正直な所。
なにせ、ファザコンで、セックス依存症で、劣等感まみれで、関係依存……ケイティは心理学博士でカウンセラーをしているのだけど、一番カウンセラーが必要なのは本人なのではないか、と思ってしまいました。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ガブリエル・ムッチーノ
■出演
ジェイク・デイビス ・・・ ラッセル・クロウ
ケイティ・デイビス ・・・ アマンダ・セイフリッド
キャメロン ・・・ アーロン・ポール
（その他のキャスト）
ダイアン・クルーガー ブルース・グリーンウッド ジェーン・フォンダ カイリー・ロジャース
クヮヴェンジャネ・ウォレス オクタヴィア・スペンサー ジャネット・マクティア
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