ガールズ・ステップ
ＧＩＲＬＳ★ＳＴＥＰ
これは、「ソロモンの偽証」で存在感を見せた、Ｅ−ｇｉｒｌｓの石井杏奈主演の青春映画。
石井杏奈、ルックスとしてはちょっと微妙だけど、演技はしっかりしてるし、さすがにそのダンスは達者なものです。
過去に仲間外れにされた経験のある女子高生、西原あずさは、女子生徒の中で主導権を握るチアリーダー部員らに愛想を使う日々。
そんなあずざは、体調不良で必修課題のダンスを休んだ事から、体育の単位と引き換えにクラスで“じみーず”と言われて孤立している目立たない女子と共に自治体のイベントでダンスを踊る事になる。
当初はぎこちなかった“じみーず”とのダンスだったが、雇われコーチのケニーの指導のもとで、あずさは意外なセンスを発揮してセンターを務める事になり、ステージでは思いの他好評で､気をよくした彼女らは、ストリートダンス部を結成して大会出場を目指すのだが……
この映画、青春映画にありがちなスポ根もの、と言うよりも、“スクールカースト”の中での学生の生き方に比重を置いて描き、その中で、上辺だけの“友情”を繕っていた主人公・あずさが自分の居場所を見つける、それが物語の中心になっています――確かに、それもまた青春映画の王道ではあります。
運動部員とチアリーダーがスクールカーストの上位を占める、と言うアメリカのハイスクールのような設定には違和感も感じましたが、まぁ、そのチアが全国レベルならそう言う事もあるでしょうか……
あずさは、スクールカースト内では中程におり、ひとつ間違えば底辺に落ちると言う位置付け。それ故に使いっ走りまでやって、チアリーダーらのグループに無理矢理しがみついています。
それは哀れと言うよりも馬鹿な事のようにしか思えないのですが、“ぼっち”になる事を何よりも恐れるあずさの心情は、現代の若者の共感を呼ぶ所なのでしょうか……？
そんなあずさが、せっかく作ったダンス部内で“じみーず”と関係を悪化させてしまう、と言うのが中盤のドラマで、そこから本当の友情を知り、友となるのがむしろこの映画のクライマックスでしょう。スポ根ものの展開とは少し異なり、主人公が自分の居場所を見つけるに重きを置いたストーリーは、ちょっと予想外の展開だったが見応えがあり、海岸でみなが心情を吐露するシーンでは、（正直、クサい話とは思ったのだけど）心揺さぶられ、涙がこぼれて止まらなかったほど。
コーチのケニーにもしっかりドラマが用意され、真剣に打ち込む姿勢が立場を作る、と言う内容も描かれた展開は、これまた上手く行き過ぎの感もあるのだけど、涙の後の展開だけに許せてしまえる感じ。
そして、クライマックスのダンスシーンも格好よく、かつ気持ちのいいもの。
確かに青春映画は好みのジャンルであるけれど、これは思っていた以上に楽しめた満足の１本でした。
PS
この映画、ロケ地が、主に鎌倉・江ノ島なのだけど、藤沢、横浜と言う馴染みのある所が多くて……
（例えば、あずさが行ったカラオケは湘南台駅前、毎日の通勤で利用する所）
そんな所も楽しめてしまいました。
（２０１５年 ９月１２日 横浜ブルク１３にて）
（作品データ）
■監督
川村泰祐
■出演
西原あずさ（八方美人） ・・・ 石井杏奈
“じみーず”
小沢葉月（勘違い女）・・・ 小野花梨
貴島美香（ヤンキー） ・・・ 上原美矩
片瀬愛美（根暗女） ・・・ 小芝風花
岸本環（ガリ勉） ・・・ 秋月三佳
ケニー長尾 ・・・ 塚本高史
（その他のキャスト）
磯村勇斗 山本裕典 松浦雅 音月桂 大東駿介
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