人生スイッチ
これは、２０１４年、アルゼンチンで「アナと雪の女王」の２倍以上の観客を動員し、歴代興行収入記録を更新する大ヒットとなった短編オムニバス映画。
（スイッチ１：おかえし）
仕事で飛行機に乗り込んだモデルの女性。隣席の男性は、偶然にも音楽家だった元彼を酷評した評論家で……
（スイッチ２：おもてなし）
雨の夜、ダイナーを訪れた客は、そこで働くウェイトレスの父を自殺に追い込んだ高利貸しで……
（スイッチ３：エンスト）
田舎道を気持ちよく新車で飛ばす男性。地元のクルマとトラブルになって……
（スイッチ４：ヒーローになるために）
クルマをレッカー移動された事で仕事と妻子を失った男は……
（スイッチ５：愚息）
裕福な男性の息子が事故を起こし､人を死なせてしまった。父親は、その隠蔽工作を顧問弁護士に依頼するが……
（スイッチ６：ＨＡＰＰＹ ＷＥＤＤＩＮＧ）
幸せな結婚披露宴の最中、招待客の中に花婿の浮気相手がいる事を知った花嫁は……
１２２分の中に６つのエピソードを詰め込んだので、いずれも短編で、ほとんど１発ネタなので、これ以上のストーリー紹介をするのが難しい……作風としてはヒューマンドラマタッチだったり、バイオレンスだったり、ミステリーだったりと味付け様々で飽きさせない辺り、監督の守備範囲の広さを感じます。
基本的にコメディではあるのの、映画コピーにあるような「爆笑」を誘うようなシーンはなく、かなり辛辣なブラックユーモアが多いので、これは観る人を選ぶように思います。
大体、タイトルが出るシーンと言うのが民家に突っ込む瞬間の旅客機のアップですから――日本公開されたのも間が悪い。
（しかし、これが大ヒットしたアルゼンチン映画界って一体……）
共通するのは、怒りが限界を越え、所謂“キレた”後の怒りの暴走なのですが……致命的な破綻に至る（スイッチ１）のエピソードから、少しずつ尺を伸ばしてドラマを描き込み、最後の（スイッチ６）では、“割れ鍋に綴じ蓋”とでも言うような、いささかアクロバティックなハッピーエンドに持ち込んで映画を締めくくる、その手腕は確かに只者でありません。
監督のダミアン・ジフロンは、あのペドロ・アルモドバルが惚れ込んで製作を買って出た程の才能だそうで、それにも納得出来る面白さでした。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ダミアン・ジフロン
■出演
ダリオ・グランディネッティ フリエタ・シルベルベルグ リタ・コルテセ レオナルド・スバラーリャ
リカルド・ダリン オスカル・マルティネス エリカ・リバス
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