20歳よ、 もう一度 |
これは、70歳の老婆が20歳の姿になって青春を取り戻そうと言う、中国のファンタジー映画。
70歳になるモンジュンは、女手ひとつで苦労の末に大学教授を務めるまで育て上げたひとり息子が自慢の種。
しかし、口うるさく頑固な彼女は周囲との諍いが絶えず、息子の嫁は心労が祟って心臓病で倒れてしまう。
それをきっかけにモンジュンを老人ホームに預ける、と言う息子と孫たちの会話を聞き、さすがに落ち込んで家を出て街に佇むモンジュンは、「青春写真館」と言う店に目を止めた。
引き寄せられるように店内に入り、「遺影にするんだから綺麗に撮ってくれ」と言って撮影して貰ったモンジュンは……
この映画、十分な予備知識がなく、紹介文から「怪しい彼女」みたいだなぁ、と思って観始めたのですが……実はこれ、「怪しい彼女」と同じストーリーで作られた中国版の姉妹編なのだとか。
この中国版で、20歳に若返ったをモンジュンを演じるのは、「So Young〜過ぎ去りし青春に捧ぐ〜」のヤン・ズーシャン。
「怪しい彼女」のシム・ウンギョンが、韓国でウケる“清楚な美人”の枠からいささか外れているせいで本国での興行成績は今ひとつだったのに対し、ヤン・ズーシャンは今風アイドルルックの美貌(やはり、小島瑠璃子に似ていると思いましたが、アイドルとして歌う様は松浦亜弥を連想しました)に加え、元々は歌手としてデビューしただけに歌唱力も確か。そのせいもあってか、こちらは本国でも上々の興行成績を上げているようです。
物語は「怪しい彼女」と勿論同じ。「夢」と「家族」、その2つのどちらが人生にとって大事なのか、人は何の為に生きるのか、を問う物語には相変わらず見応えがあり、既に知っている話なのに、しっかり面白く、そして感動させられました。
映画の仕立てとしては、「怪しい彼女」に比べると、コメディ色が後退、内容の盛り込みも控えめで、かなりあっさり仕立て――もっとも、これは「怪しい彼女」がいかにもな韓国映画で盛り込み過ぎなのでしょうけれど――モンジュンが本来の年齢に戻ってからの描写も最小限に止められています。
(ただ、「怪しい彼女」のラストのもうひとひねりは、この映画でも期待したのですが……)
また、「怪しい彼女」では、主人公のオ・ドゥリが憧れるのはオードリー・ヘップバーンなのに対し、モンジュンの憧れはテレサ・テン。
そうしたお国柄のアレンジも面白いですが、モンジュンの夫が死んだ「戦争」ってのは何だろう?(中ソ紛争かな……?)と思わせてしまうなど、アレンジし切れない所にはちょっと引っかかってしまいました。
やはり、優れた物語は、どうアレンジしてもちゃんと面白くなるもの。これもよい映画でした。
が……こうなると、今度は日本でリメイクしたらどう仕上がるのだろう?と思ってしまいました。
(2015年 6月20日 TOHOシネマズららぽーと横浜にて)
(作品データ)
■監督
レスト・チェン
■出演
シュン・モンジュン(20歳)/モン・テレサ ・・・ ヤン・ズーシャン
シュン・モンジュン(70歳) ・・・ グァ・アーレイ
(その他のキャスト)
チェン・ポーリン ルハン
■コピー
“おしゃれで可愛い彼女は、なんと70歳のおばあちゃん !?”
突然ハタチになった彼女が巻き起こす、恋と笑いと涙のファンタジー・ラブロマンス
■Link
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