これは「ホット・ファズ」のサイモン・ペッグ主演のコメディ。幸せを求めて旅に出た精神科医が、行く先々で様々な人に出会い、人生を見つめるロードムービーでもあります。
　共演は「ゴーン・ガール」のロザムンド・パイク。

　精神科医のヘクターは、仕事が出来て美人でしっかり者の恋人クララと同棲中。不器用なヘクターだけど、日常生活の全てはクララが切り盛りしてくれ、何一つ不自由がない。
　だが、患者たちを悩ませる不幸な身の上話を聞くうち、ヘクターの中に疑問が生まれる――幸福とは何だろう？――ある日、ヘクターは、その答えを探しし旅に出る事を決意。
　クララの用意してくれた手帳をポケットに入れ、まずは最初の目的地、中国へ向かうのだが……

　この映画、タイトルからすると、自己啓発映画か、アートフィルムのような感もあるのですが……サイモン・ペッグはとんでもなく不器用なヘクターと言う男を見事に演じて、真面目な顔で笑いのとれるコメディアンぶりを見せていますし、その他のキャストも豪華――ただ、ロザムンド・パイクは「ゴーン・ガール」の後遺症で裏に何かありそうで怖いのですが――世界各国を巡るロケにも力が入っていて、コメディとしても、ロードムービーとしてもなかなかの出来です。

　中国・上海で快楽と嘘に出会い、チベットの山中で壮大な風景の中、幸せの一端を掴み、アフリカで恐怖のどん底に突き落とされて、生の喜びを知り、アメリカで過去に直面して愛を知る……世界狭しと駆け巡り、自分の“内なるタンタン”と共に幸福を探す旅は、要するに夢見がちな若者の言う「自分探し」の旅だろう、と。
　金と時間と社会的地位もある中年男が、ファーストクラスで巡る“冒険”の目的としてはいささか子供じみていますし、世界一周と言う遠回りをした挙げ句に辿り着く「愛を得る事が人生の幸せ」と言う陳腐な結論は、さすがにちょっと痛いなぁ、と思ってしまいました。
　

　（年　月日　にて）

（作品データ）

　■監督

ピーター・チェルソム　

　■出演

　ヘクター　・・・　サイモン・ペッグ
　クララ　・・・　ロザムンド・パイク

（その他のキャスト）
　トレイシー・アン・オバーマン　　ジャン・レノ　　ヴェロニカ・フェレ　　バリー・アトスマ　　伊川東吾
　クリストファー・プラマー　　ステラン・スカルスガルド　　トニ・コレット

　■コピー

幸せをさがして 愛をさがして きみにもどる旅　

　■Ｌｉｎｋ

http://shiawase-movie.com/　

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