| パイレーツ ｰ海賊- |
これは、２０１４年の韓国映画興行ランキングで、第２位の興行成績を収めた大ヒット映画。
主演はキム・ナムギルとソン・イェジン。黄海を舞台とした堂々の海洋アクション巨編です。
西暦１３８８年。李成桂将軍の謀反により高麗王朝は倒され、李成桂を国王として新王朝を建てる。宗主国である明の皇帝は李王朝に「朝鮮」という国号と国璽（国の印章）を与えるが、その国璽を運んでいた使節船が巨大なクジラと衝突して大破。国璽はそのクジラに飲み込まれてしまう。
重臣たちは、国王には「国璽が海賊に奪われた」と偽り、その一方で軍にクジラの捕獲を命じるが、指揮官モ・フンガプは、逆に海賊の女船長ヨウォルを脅してクジラ捕獲に協力させる。その話を聞きつけた山賊の頭目、チャン・サジョンも、仲間たちと一緒に一攫千金のクジラ獲りに挑むことを決意して……
朝鮮建国の後、１０年ほど国璽が使われなかったと言う史実に基づきながら、海賊・山賊・軍隊が入り乱れてお宝争奪戦を繰り広げる痛快娯楽作。
正に、韓流「パイレーツ・オブ・カリビアン」と言う趣で、いわば「黄海の海賊」と言う所でしょうか。
韓流アクションと言うとハードな内容のものも多いのですが、その辺りもディズニーを見習ったのでしょうか、流血など残酷描写は控え目、エロも控え目、でも、ギャグは満載のコメディ仕立てとされています。
アクションのスケールも大きく、アトラクションのようなアクションもディズニー流。大水車が暴走するスペクタクルなど、本家「パイレーツ・オブ・カリビアン」にもありましたが、見事に脚色され、大迫力のシーンになっているのには驚きです。
また、ワイヤーアクション多用のアクションは、韓流と言うより香港流で、ちょっとジャッキー・チェンの映画のような雰囲気があります。
物語の方は、お宝争奪に加えてヨウォルと先代の大海賊との因縁や、元々軍の兵士だったチャン・サジョンと上官だったモ・フンガプの恩讐、更にサジョンとヨウォルのラブロマンスも盛り込み、物語の底には、未だ“宗主国”の顔色を伺う現政権への批判をも潜ませる、韓流映画ならではの盛り沢山の内容。
もっとも、こうした内容が整理されておらず、回収されない伏線や、途中で思い出したように出て来る設定なども出て来たりして、脚本は十分練られていない印象。また、登場人物も多くて混乱させられます。ただ、物語はシンプルなので、筋を追うのに問題はありませんし、てんこ盛りの内容がお祭りのような賑やかさを生んでいるのも否定出来ないでしょう。
それにしても、何かと手間とお金のかかる海洋アクションを、このスケールで描き切る韓国映画の力量には今更ながら感心すると共に、大ヒットするのも納得の出来栄え。
またしても日本映画との力量の差を見せつけられた感じです。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
イ・ソクフン
■出演
チャン・サジョン ・・・ キム・ナムギル
ヨウォル ・・・ ソン・イェジン
（その他のキャスト）
ユ・ヘジン イ・ギョンヨン パク・チョルミン キム・テウ オ・ダルス
ソルリ イ・イギョン シン・ジョングン
■コピー
国家の象徴である“黄金の国璽”が海に消えた・・・お宝を手に入れるのは海賊か山賊か？ 最強の強盗たちの大激戦！
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