| ＫＩＴＥ カイト |
これは１９９８年にＯＶＡとしてリリースされた日本の成人向けアニメ「Ａ ＫＩＴＥ」を、南アフリカで実写映画化したもの。
原作の「Ａ ＫＩＴＥ」は海外ではカルト的な人気があり、その辺りに着目しての企画であったようです。
金融危機で政府の行政能力が崩壊し、治安が悪化した近未来。
街を牛耳る犯罪組織の資金源は誘拐して来た少女の人身売買ビジネスだが、弱体化した警察は手が出せないでいた。そんな犯罪組織に両親を殺された少女サワは、殺された父の同僚だったアカイ刑事から武器と情報を手に入れて、復讐の為に組織のボスを追っていた。
しかし、過去のトラウマと、報復殺人のストレスがサワの神経を痛めつけ、そこから逃れる為に服用するようになった薬物「アンプ」が過去の記憶を曖昧にして……
この映画、元となったアニメは未見の状態で観ましたが、いささか物足りない出来の近未来アクション、と言う印象でした。オリジナルを知る人にとってはアニメ版そのままのアクションなど面白い部分もある、と言うのですが……
また、レイティングの関係でエロティックな要素を無くした内容は、原作のファンには物足りなく感じるのではないでしょうか？
主人公のサワを演じているのは、オリヴィア・ハッセーの娘、インディア・アイズリー。
華奢な身体に幼さを残す顔立ちは、なるほど日本アニメのヒロインには相応しく、予告編で観た時には本編に期待させられました。変装のため様々に衣装を変えるのも楽しいし、アクションも達者ではないものの、頑張っている感じは好印象を受けました。サワと言う名前も日系ハーフと思えば許容出来る範囲でしょう。
一方、いただけなかったのはアカイ役のサミュエル・L・ジャクソン。さすがに日系には見えませんし、キャスティング的にも“ラスボス”なのは見え見え。そもそも少女に中毒症状になるまで薬物を与えているだけで善人ではありえないでしょう。
ここは、少なくともアカイと言う名に違和感のないよう、渡辺謙辺りを起用し、違和感をなくすと共に、その存在感にも工夫が欲しかった所です。
映画としては終盤が妙に尻すぼみの印象。
それは、当初、監督を務めていたデヴィッド・エリスが急死し、ラルフ・ジマン監督が引き継いだと言う製作事情のせいもあるでしょうか？伏線も回収し切れておらず、物語世界の広がりも感じられない展開も、その辺りに原因があるのかも知れません。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ラルフ・ジマン
■原作
梅津泰臣
■出演
サワ ・・・ インディア・アイズリー
アカイ ・・・ サミュエル・Ｌ・ジャクソン
（その他のキャスト）
カラン・マッコーリフ ジャコ・ミュラー アナベル・リンダー クリスティナ・ストーム デオン・ロッツ
カール・ビューカス ジョリーン・マーティン マシュー・ヴァン・リーヴ クレオ・リンクウエスト
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少女たちが性の奴隷として売買される近未来。
両親を殺され、暗殺者と化した少女の復讐に終わりは来るのか――
■Ｌｉｎｋ
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