| アンリミテッド |
これは、「トワイライト」シリーズの恋敵役の狼男を演じたテイラー・ロートナー主演の映画。
パルクールを全面的に取り入れたアクション映画で、原題はパルクールの使い手を意味する「Ｔｒａｃｅｒｓ」です。
ニューヨークでサイクルメッセンジャーとして働く青年カム。多額の借金を抱える彼は、命知らずの激しい走りで貪欲に稼いでいたが、ある日、目の前に飛び出して来た女性を避けようとしたタクシーと衝突し、商売道具の自転車を壊してしまう。途方に暮れるカムだが、翌朝、事故の原因となった女性から新しい自転車を贈られる。
名前も告げずに自転車を置いて去った、その女性をカムは探し続けて……
この映画、ニューヨークを所せましと駆け回るアクションに、サスペンスとラブロマンスまで絡める盛り沢山の内容ながら、どこをとっても掘り下げが浅く、薄味の仕上がりが物足りません。この淡泊さはもう狙ってやっているのではないか、と言う感じで、借金取りに追われる焦燥も、犯罪に手を染める時のひりひりするような心の痛みも、燃え上がるような恋愛感情も、そして仲間の死でさえも、何処か他人事のようにあっさりと描いているのです。
そんな映画の中で、唯一と言っていい見所は、盛り込まれたパルクールを多用したアクション。
確かに、「ＹＡＭＡＫＡＳＨＩ」を始めとしてパルクールを使ったアクション映画は数多く、新鮮味としては今更、と言う感もあります。それでも、元々身体能力の高いテイラー・ロートナーは、意外なほどにいい動きを見せています。
「フルスロットル」で復活を見せたパルクールの元祖、ダヴィット・ベルには到底及ばないのは勿論の事ですが、それでも、日常の生活空間における練習風景や、ウェラブルカメラによる体感映像などを盛り込み、ＣＧ抜きの人間の身体能力で、この疾走感を作り上げたのはなかなか見事。
ラストの展開も、見え見えの伏線に急に物分りがよくなる借金取りなど、ご都合主義も見え隠れするものの、鮮やかな逆転劇で爽やかに締め、後味も上々。
決してテイラー・ロートナー目当ての女性客相手のお気楽映画ではない内容を持っているだけに、これでもう少しドラマに深みがあればねぇ……
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ダニエル・ベンマヨール
■出演
カム ・・・ テイラー・ロートナー
ニキ ・・・ マリー・アヴゲロプロス
（その他のキャスト）
アダム・レイナー ラフィ・ガヴロン
■コピー
愛する者を守る為、限界を超えろ！
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