これは、五十嵐大介の同題コミックスを橋本愛主演で実写映画化した中編四部作映画の、第三部・第四部に当たるもの。

　小森は山に囲まれた小さな集落。商店のある町役場付近まで自転車で３０分、大きなスーパーのある町に出るのは１日仕事と言う住まいで、いち子はひとり暮らしをしている。
　母は５年前に家を出、一度は都会に出たいち子は、町での暮らしに馴染めずに村に戻って来た。
　自然と向き合い、自給自足の日々を送るいち子の元に、ある日、母からの手紙が届く。決して近況を知らせるものではない、抽象的な内容の手紙をゆっくりと理解して行くいち子は、厳しい冬を越え春を迎えようとする頃、ある決断をする……

　夏秋冬春の四部作のこの映画を観終えての印象になりますが、過疎の農村の問題点に目をつぶり、そこを理想郷のように描く姿勢にはやはり疑問を覚えますし、やってることは「鉄腕ＤＡＳＨ」と変わりません。基本的には、夏・秋編を観た時にも感じた「オーガニック指向の若い女性向け映像エッセイ」と言う印象を覆すものではありません。
　（しかし、橋本愛を鑑賞する“アイドル映画”となっている本作、劇場には中高年男性の姿も目立ちましたが……）

　ただ、物語性が希薄だと思っていたこの映画ですが、四部作の折り返しを過ぎ、雪に閉ざされた中で、逆に物語が動き出した感があります。
　そして、四部作を観終えると、これは、若者が自分の居場所に落ち着くまでのシンプルな青春映画だったことに気付きます。
　食べること、そこに住むこと、そして生きると言う事を見つめる物語は淡々とした印象ながら、なかなか見応えがありました。
　飾らない橋本愛の淡々としたナレーションもいいし、変に感動を盛り上げようとしない辺りも好感が持てるもの。
　ただ、春編終盤で急展開を迎え、時間を飛び越えて迎えたエピローグはいささか唐突で、とってつけたような印象があるのが残念でした。

　（年　月日　にて）

（作品データ）

　■監督・脚本

森淳一　

　■出演

　いち子　・・・　橋本愛

（その他のキャスト）
　三浦貴大　　松岡茉優　　温水洋一　　桐島かれん

　■コピー

生きるために食べる
食べるためにつくる　

　■Ｌｉｎｋ

http://littleforest-movie.jp/　

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