映画
深夜食堂
これは、小さな食堂で繰り広げられる人間模様を描いて高評価を得た安倍夜郎の漫画「深夜食堂」を元に作られたＴＶドラマを映画化したもの。
主演は、ＴＶドラマ版に続き小林薫。監督は「東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン」の松岡錠司。
眠らない街、新宿の裏通りに深夜０時に開店するめしやがある。
メニューには豚汁定食と酒しかないが、マスターが出来るものなら何でも作ってくれる。めしやには、マスターの味と人柄に惹かれて人が集まる。その店を、人々は「深夜食堂」と呼んでいた。
ある夜、店に骨壺が置き忘れられているのを見つけたマスターは……
この話、原作漫画もＴＶドラマも未見、予備知識なしで暖簾をくぐったのですが、そこに広がるのは、懐かしい昭和の匂いと、落ち着く雰囲気で、その世界にすっと馴染む事が出来ました。
映画としてはオムニバス形式で、マスターと、ＴＶシリーズからの常連客は変わらずに、そこに３品の料理に合わせた３＋１のエピソードを綴るオムニバス形式。
一見、ＴＶシリーズを３つ重ねたように思わせつつ、３つのエピソードを“骨壺”で繋ぎ、最後を大ベテランの田中裕子が締める、と言う劇場版ならではの構成と脚本も見事なものでした。
３つのエピソードの中では、多部未華子の意外にも肉感的なボディで生々しい生命力を描いた「とろろご飯」が好印象。
また、東日本被災地と東京の関係を、ある視点で切り抜いて見せた「カレーライス」は、現代社会の映し鏡とする意欲は感じられましたが、ちょっと力及ばす。この物語で描くにはちょっと荷が重かった印象です。
マスターの顔面に走る傷跡の理由や、いろいろとワケありの常連たちなど、“一見さん”には踏み込めない部分もありましたが、素朴だけど美味そうな料理と、温かな雰囲気は心地よく、確かに心満たされる映画でした。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
松岡錠司
■出演
マスター ・・・ 小林薫
◇ゲスト
（オムライス）
川島たまこ ・・・ 高岡早紀
西田はじめ ・・・ 柄本時生
（とろろご飯）
栗山みちる ・・・ 多部未華子
塙千恵子 ・・・ 余貴美子
（カレーライス）
大石謙三 ・・・ 筒井道隆
杉田あけみ ・・・ 菊池亜希子
（その他のキャスト）
不破万作 綾田俊樹 松重豊 光石研 安藤玉恵 須藤理彩
小林麻子 吉本菜穂子 中山祐一朗 山中崇 宇野祥平 金子清文
平田薫 篠原ゆき子 谷村美月 オダギリジョー 渋川清彦
田中裕子
■コピー
小腹も心も満たします。
■Ｌｉｎｋ
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