スパイ・レジェンド
これは、ビル・グレンジャーの小説「Ｔｈｅｒｅ Ａｒｅ Ｎｏ Ｓｐｉｅｓ」（日本語訳未刊行、英語版も絶版）を映画化したスパイ・アクション。
主演はピアース・ブロスナンで、自ら製作をも担当しています。
ＣＩＡの敏腕エージェントだったピーター・デヴェローは、スイスのローザンヌで静かな隠退生活を送っていた。
そこに、かつての仲間、ジョン・ハンリーが訪れ、仕事話を持ちかける。冷戦時代に活躍したピーターの同僚が次々に殺害されており、その陰にロシアの次期大統領と目される有力政治家、フェデロフが絡んでいるらしい。どうやら、大統領選を睨んで過去を清算しようとしているようだ。
更に、フェデロフについての重要な情報をつかんだ女性エージェントが、ピーターに助けを求めているのだと聞かされる。
己の保身と、かつて愛した女の命を救うため、単身モスクワに向かうピーター。だが、彼女はピーターの目の前で、証拠隠滅のためＣＩＡの暗殺部隊に射殺されてしまい……
原作小説は、冷戦時代を舞台にしたものだそうですが、映画は現代を舞台にするようアレンジ。更に、現代のスパイ・ムービーに相応しい、ハードでリアリティを感じさせる内容に仕立て直しています。
冷戦時代の米ソ対立構造を元に、現在の社会動向を上手く取り入れた脚色も巧みで、二転三転するストーリー展開もなかなか。スピーディーでダイナミックなアクションも見応えがあり、このリメイクは当たりのように思います。
ピアーズ・ブロスナンと言うと、やはり「００７」のジェームズ・ボンド役が印象に強くありますが、その「００７」シリーズも、ダニエル・クレイグに継投後、大きく路線を変えてハード指向となっています。
この映画、ピアーズ・ブロスナンが、「自分もこんなジェームズ・ボンドを演じたかった」と思って製作したように思えます。
実際、美女を傍らにしてアクションを繰り広げるのは、「００７」そのままの構成ですし、美女を演じるオルガ・キュリレンコは、「００７ 慰めの報酬」のボンドガールなのですから……
また、引退したベテランが、現役の若手相手に大暴れ、と言う構図は何だか「エクスペンダブルズ」を彷彿とさせます。
それにしても、ハリウッドのベテランアクションスターと言うのは元気なものだ、と思うと共に、若手も頑張って欲しい所だと思いました。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ロジャー・ドナルドソン
■出演
ピーター・デヴェロー ・・・ ピアース・ブロスナン
アリス・フルニエ ・・・ オルガ・キュリレンコ
デヴィッド・メイソン ・・・ ルーク・ブレイシー
（その他のキャスト）
ビル・スミトロビッチ ラザル・リストフスキー エリザ・テイラー カテリーナ・スコーソン
アキー・コタベ ウィル・パットン パトリック・ケネディ
■コピー
彼が通った後に、生き残ったものはいない
■Ｌｉｎｋ
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