サン・オブ・ゴッド
あなたは、その奇跡の生涯を目撃する――
これは、イエス・キリストの生涯を描く映画で、元々ヒストリーチャンネルで放送されていた「ザ・バイブル」と言う聖書のエピソードを描く全１０話のシリーズから、５話を占めるイエス・キリストの生涯を抜き出して再編集したものだそうです。
なるほど、クローズアップ多めな絵作りとか、こまめに盛り上げる展開などは、いかにもＴＶドラマ、と言う感じですし、出演俳優も映画では馴染みのない人ばかり。
それにしても、ＴＶシリーズでこの内容と言うのは、アメリカ恐るべし、です。
今から約２０００年前、人里離れた岩山の中で独り暮らす老人がいた。彼は、イエス・キリストの弟子、使徒ヨハネ。既に彼以外の使徒たちは全員が殉教し、最後の使徒になっている。ヨハネはイエスと出会い、共に過ごした日々を回想して行く……
元々の「ザ・バイブル」は創世記のアダムとイブの物語から始まりますが、この映画もアダムとイブに始まり、ノアも登場し、出エジプト記の内容にも触れ……と、駆け足で聖書の内容を描き、イエスの誕生もさらりと流して、物語が本格的に動き出すのは、イエスが最初の弟子、ペトロを得る所から、となります。
物語の着眼点はなかなか面白く、“神の子”イエスを中心に置きながらも、そこに深く踏み込む事をせず、イエスによって振り回される人々を生々しく描きます。
確かに、“神の子”の内面に踏み込むとなると“神”を描かざるを得ず、それはさすがに畏れ多い、と言うことなのでしょう。
そして、世界を変える“力”を持った人物と向き合う時、“普通の”人がどうなるのかを描いて、その、世の中を変える“力”が何だったのか、を描こうとするのです。
ただ、映画は１３８分もあるのですが、それでもＴＶシリーズ５話をまとめたせいか、どうにもダイジェスト感があって、踏み込みが浅いように思えるのが物足りませんでした。
また、そうした面白い取り組みの人間ドラマとして見られた前半に対し、イエスの処刑が決まってからは一転して冗長に感じられてしまいました。
まぁ、このエピソードだけを１本の映画にした「パッション」を既に観ているせいもありますし、製作者も「ここが最重要だ」と思ってしまったのか、ダイジェスト感のあったこれまでに対し、逆にくどい程の描写に感じられたのは、いささか残念。
むしろ、前半のイエスが起こす様々な奇跡と、弟子たちとのやりとりをしっかり描いてくれた方がよかったのに、と思えました。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
クリストファー・スペンサー
■出演
イエス ・・・ ディオゴ・モルガド
マリア ・・・ ローマ・ダウニー
（その他のキャスト）
アンバー・ローズ・レヴァ ダーウィン・ショウ セバスチャン・ナップ ポール・ノップス ダリス・リンカーン
デビッド・リントゥール ゲイリー・オリバー ウィリアム・ヒューストン スチュワート・スクゥーダモア
ノンソー・アノジー コナン・スティーブンス ジャッサ・アルワリア ラングリー・カークウッド ルイーズ・デラメール
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