宇宙戦艦ヤマト２１９９
星巡る方舟
これは、名作アニメ「宇宙戦艦ヤマト」のリメイクであるアニメＴＶシリーズ「宇宙戦艦ヤマト ２１９９」の完全新作劇場版。
西暦２１９９年。ガミラスとの戦争により人類滅亡の危機に瀕した地球を救うため、１６万８千光年の旅を経て惑星イスカンダルに辿り着き、「コスモリバースシステム」を受け取った宇宙戦艦ヤマト。
イスカンダルからの帰路、ヤマトはガミラスと敵対するガトランティスの艦隊と遭遇。ヤマト艦長代理の古代進は戦いを望まず、穏便に対処しようとするが、波動砲を狙うガトランティス艦隊はヤマトを攻撃。
無理なワープをして何とか逃げ延びたヤマトだが、奇妙な空間に入り込んでしまい……
元々、１年がかりのＴＶシリーズとして企画された「宇宙戦艦ヤマト」は本放送時には視聴率が稼げず（あの名作「アルプスの少女ハイジ」とぶつかったが痛い）、放送途中で打ち切りが決定した為に、半年かけてイスカンダルに辿り着いたヤマトは最終回の１回で地球に戻って来てしまいました。
そんな所まで真似する事はなかったのですが、「宇宙戦艦ヤマト２１９９」でも帰路のエピソードは少なく、デスラーの逆襲程度しかありません。
この映画版は、そうした帰路でのエピソードを補完するものとして作られました。
「宇宙戦艦ヤマト ２１９９」はＴＶシリーズを劇場公開しており、今更総集編を劇場版には出来ないと言う事情もあるのでしょうが、これは今までのＴＶアニメの劇場版とは違う、なかなか面白い仕掛けになっています。
物語としては、地球に生還するエンディングがあるので、ヤマトと主要登場人物が無事に済むのが判っており、サスペンスとしての緊迫感に欠ける所を、主要登場人物の多くをガミラス側にし、ヤマト側も今までスポットを当てていない人物を前面に出す事で補う、と言う工夫もされていますし、これまで踏み込めなかった設定を掘り下げ、新たな物語に繋げる“テーマの深化”も見逃せない所。また、ＴＶシリーズになかった、サイコ・サスペンス風味のある物語自体もよく、これ単独で観ても“センス・オブ・ワンダー”を感じさせる、なかなか立派な「ＳＦ」になっているのには感心しました。
土方や斎藤と言う「さらば宇宙戦艦ヤマト」のキャラクターも登場しましたが、今後、彼らの活躍するストーリーがあるかどうかは難しい所。
（どうやら、思ったほどには若い観客を集められていないようです）
ただ、暴虐な宇宙人の侵略に対し、起死回生の切り札で逆襲し、本拠地まで乗り込んでいって逆に全滅させてしまってから反省する、ちょっと「それは虫が良すぎるのではないか」と言う物語だったオリジナルの「ヤマト」に対し、この「ヤマト ２１９９」は、戦端を開くきっかけを作ったのは地球人で、その自戒と反省を胸に相互理解を求めて行く物語となっています。
ある意味、現代の日本と言うか、戦後日本の進むべき方向性を色濃く反映（それはそれで偏っているようにも思うのですが）したような方向性は、確かに評価すべきものでしょう。
それが根底にある以上、もし続編があったとしても、もうそれは「さらば〜」のような物語にはならないように思います。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
出渕裕
■出演
古代進 ・・・ 小野大輔
桐生美影 ・・・ 中村繪里子
フォムト・バーガー ・・・ 諏訪部順一
（その他のキャスト）
桑島法子 鈴村健一 大塚芳忠 菅生隆之 久川綾 近木裕哉 國分和人 赤羽根健治 千葉優輝
千葉一伸 麦人 土田大 藤原啓治 細谷佳正 平川大輔 田中理恵 チョー 木島隆一 松本忍
森谷里美 藤田咲 内田彩 佐藤利奈 はらさわ晃綺 遊佐浩二 石塚運昇 小川真司 江原正士
森功至 東地宏樹 雨谷和砂 吉開清人 斉藤次郎 高階俊嗣 河本啓佑 園崎未恵 立花慎之介
ふくまつ進紗 広橋涼 田坂浩樹 宇垣秀成 茂木たかまさ 大友龍三郎 甲斐田裕子 田中正彦
石井康嗣 浜田賢二 伊勢文秀 菊本平 坂巻学 岩男潤子 伊藤静 辻親八 中田譲治
茅原実里 大塚明夫 井上喜久子
■コピー
地球への帰路、ヤマトは未知なる敵と遭遇した・・・その名は・・・・・・ガトランティス!!
■Ｌｉｎｋ
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