「アメリ」

　昨日一日、風邪で熱出して大人しくしていたので、今日はちょいと外出、映画を観に行くことに。
　映画は「アメリ」。
　大人気の映画で、この間から横浜の関内アカデミーでも上映が始まったばかり。
　日曜の朝イチだから、と思って上映３０分前に行ったら、劇場には長蛇の列・・・だけど、この位ならとりあえず座ることは出来そう、と思って、列に並びました。
　（結局、初回から立ち見が出る程でした）

　そんな、大人気の本作は、「エイリアン４」のジャン＝ピエール・ジュネ監督の最新作。今までの監督作品にあった、グロテスクな部分は表面的には姿を消し、明るくかわいく、ちょっとエッチで面白い、口当たりのいい映画になっています。

　主人公のアメリは家庭環境が原因で、周囲に溶け込めず、空想で自分を取り巻く世界を補って来た女の子。
　そんな彼女が、ふとしたきっかけで、人々を幸せにしようと思い立つ。
　これはなかなか面白いテーマだと思う。　
　アメリは様々な技巧を凝らし、周りの人々を幸せにしようとする。
　ただ、それってのは代償行為。
　その「幸せにする」対象が自分自身に向いた時、アメリは回避して来た現実世界との折り合いをつけることになる訳です。

　人間、誰しも現実に真正面から向き合うのは難しくて、特に自分のこととなると、なにかと逃げ道を用意してしまうもの。
　それをどうやって克服していくのか・・・と言う所に対して、映画は少し物足りなかった。
　勿論、アメリが周囲の人を幸せにしようとしたのと同様、周囲の人がアメリを幸せにしようと動いた結果であり、ある意味、人と人が寄りかかりながら生きていく様を見せたのかもしれないけれど、アメリ自身の変化が見られなかった所が物足りなかった原因でしょうか。
　また、周囲の人物も魅力的で、サイドストーリーも面白いのだけど、それが逆に主人公のアメリを埋没させ、ドラマを希薄に感じさせていたかも知れません。

　なるほど、これは確かに面白いけれど、口当たりのいいデザートだけでは満腹にならない、そんな感じのする１本でした。

　（１２月２３日　関内アカデミーにて）

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