楽園追放
ＲＡＫＵＥＮ ＴＳＵＩＨＯ
Ｅｘｐｅｌｌｅｄ ｆｒｏｍ Ｐａｒｅｄｉｓｅ
これは、「魔法少女まどか☆マギカ」の虚淵玄が脚本を手掛け、「機動戦士ガンダム００」の水島精二が監督した劇場オリジナルＳＦアニメ。
２４００年、ナノハザードにより荒廃した地球に見切りをつけ、人類の多くは地球と肉体を捨て、地球衛星軌道上の電脳世界ディーヴァで暮らしていた。
そんなある日、フロンティア・セッターと名乗る者がシステムに侵入、ディーヴァに混乱を引き起こす。
フロンティア・セッターの所在が地球上にある事を突き止めたディーヴァは、システム保安担当の捜査官アンジェラ・バルザックを地上に送り込むが……
これは、セルを用いない３Ｄ・フルＣＧアニメで、その中で、所謂“アニメキャラ”を巧妙に３Ｄ化して動かしています。
矛盾もある２Ｄ上のキャラクターを立体造形する、と言うのはアニメキャラのフィギュアモデル同様、日本の独壇場と言えるものでしょう。
こうした作品は、既に「ＡＰＰＬＥＳＨＥＥＤ」などの先行例がありますが、この映画では更に進歩。セルアニメ風の……と言うか“萌えキャラ”を見事に描き、ギャグシーンの表情の崩し方もセルアニメ風の二次元表現にするなど、殆どフルＣＧである事を意識させません。
それでいて、キャラクター造形は、各所に透明部位を持った（セルアニメでは透過光処理が必要になる）セルアニメでは表現するのが難しいもの。
しかも、その表現力を活かし、アンジェラのバストやヒップが動く度に弾んで揺れる描写をしています。
（この“乳揺れ”描写、かつて「トップをねらえ！」で庵野秀明がその卓越した技量にて描写していたのが印象的でしたが……）
なるほど、技術はこう言う所に使うのか、と変な所に感心。
また、電脳空間内での格闘シミュレーションから、生身の身体での格闘、ロボットバトル、とアクションシーンも盛り沢山で、特に終盤の市街戦は正に息つく間もない激しさで、見応え充分。
物語の方も、既視感のある設定でありながら、なかなかどうして、ちゃんとＳＦの体を成しているではないですか。
かわいい美少女が主役の萌えアニメ、と侮れない内容だと思います。
（いや勿論、“メカと美少女”の萌えアニメと観ても、その満足度は高いと思うのですが）
気になったのは、フロンティア・セッターの呼びかけに応じる人間が現れなかった事ですが……それも、まだ見ぬ世界よりも変わらない日常が大事、と言う現代の日本社会にありがちな価値観を反映させたもの、と見る事も出来るかも知れません。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
水島精二
■出演
アンジェラ・バルザック ・・・ 釘宮理恵
ディンゴ ・・・ 三木眞一郎
フロンティア・セッター ・・・ 神谷浩史
（その他のキャスト）
林原めぐみ 高山みなみ 三石琴乃 稲葉実 江川央生 三宅健太
上村典子 遠藤大智 安済知佳 半田裕典 荒井聡太 金本凉輔
新井良平 森下由樹子 劉セイラ のぐちゆり 小川慎太郎 小池万瑠美
古谷徹
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