THE
ＧＵＥＳＴ
ザ・ゲスト
これは、「サプライズ」のアダム・ウィンガード監督の新作。
戦死した息子の友人と言う好青年が、とんでもない災厄を引き起こして行くと言う、ホラー・サスペンス映画です。
イラク戦争で息子を亡くしたピーターソン一家のもとに、息子の戦友と名乗るデイヴィッドが訪ねてくる。控えめで礼儀正しく、息子の思い出を語ってくれたデヴィットに母親は涙し、しばらく泊まって行ってほしいと半ば無理やり彼を滞在させる。
デイヴィッドは気難しい父親からも気に入られ、息子がいじめられている事を知ると腕力で解決してしまう。
だが、長女のアナはデヴィットの正体を怪しみ、軍に問い合わせする。
そして、アナからの問合せを受けた軍内部では、デヴィットを“処分”する部隊の編成が行われて……
ホラー映画の定番設定として、その行動が予測出来ない襲撃者、と言うものがあります。その正体は、未知の怪物や妖怪の類いであったり、野生動物や、宇宙人、あるいは狂った人間であったりしました。
しかし、前作「サプライズ」でも、悪意ある普通の人間を襲撃者としたアダム・ウィンガード監督は、本作では、その設定を進めて、何処から見ても好青年な男が、人を次々と殺めて行く、と言う物語にしました。
「サプライズ」では中盤以降、襲撃者の“動機”を見せて、映画はホラーからサバイバル・アクションへと変貌して行きましたが、この映画は、終盤までデヴィットの動機を描かず、結果としてクライマックスに至るまで意図不明の襲撃に脅える恐怖展開を描く、ホラー映画となっています。
しかし、この映画のデイヴィッドは、決して、理解不能なモンスターではなく、彼の視点から見ればその行動には合理性があるのでしょう。
ピーターソン一家には不幸な事でしたが、政府機関によって肉体改造されたエージェントが逃亡し、それを追う政府機関との争いに巻き込まれると言う点では、それこそ「ジェイソン・ボーン」シリーズと変わらないのです。
それが、視点を変え、情報を得られないようにした事でホラーになる、としたアイデアはなかなかで、これが、この映画の面白い所だと思います。
惜しいのは、ピーターソン夫妻の殺害をデヴィットが意図して行ってしまった事で、これを争い中での事故とし、デヴィットが狙うのが“通報者（＝裏切り者）”のアナひとり、とすれば、デヴィットと政府機関の善悪を混沌とさせ、或いは逆転させる事も出来たように思うのですが……「サプライズ」もそうだったのですが、アダム・ウィンガード監督、アイデアはともかくシナリオの詰めが今ひとつの印象です。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
アダム・ウィンガード
■出演
デイヴィット ・・・ ダン・スティーブンス
アナ・ピーターソン ・・・ マイカ・モンロー
ルーク・ピーターソン ・・・ ブレンダン・マイヤー
（その他のキャスト）
シーラ・ケリー リーランド・オーサー チェイス・ウィリアムソン
■コピー
この訪問者<ゲスト>には、想像を超えた<裏>がある。
■Ｌｉｎｋ
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