ＤＯＣＵＭＥＮＴＡＲＹ ｏｆ
ＡＫＢ４８
Ｔｈｅ ｔｉｍｅ ｈａｓ ｃｏｍ
少女たちは、今、その背中に何を想う？
これは、２０１１年以降、毎年１本のペースで製作されている、アイドルグループ・ＡＫＢ４８を題材にしたドキュメンタリー映画「ＤＯＣＵＭＥＮＴＡＲＹ ｏｆ ＡＫＢ４８」シリーズの第４弾。
これまでは、ＡＫＢ４８の活動を１年間に渡って撮影し、まとめたものになっていたのですが、この映画は、２０１３年１１月の「ＡＫＢグループ ドラフト会議」に始まり、大晦日の紅白歌合戦での突然の大島優子の卒業宣言を経て、２０１４年６月の総選挙までを描くと言う変則的なものになっています。
これは、邪推するに、大島優子の卒業により、急遽映画化が決まり、急造されたものではないからではないか、と思います。
そうやって映画を観ると、「ああ成る程」と思う部分が随所にあります。
記録された映像の質はこれまでより落ち、音声のレベルも悪くて、映画の音声としては聴くに堪えず、一部、耳が痛くなるほど。
また、これまでの映画にあった、メンバーが当時を回想して語るインタビュ−のシーンは皆無であり、ナレーションも最小限でしかありません。
ドキュメンタリー映画としての質は、前作に対し、はっきりと低下していますが、これはこれでなかなか面白いものがありました。
これまで、「ＤＯＣＵＭＥＮＴＡＲＹ ｏｆ ＡＫＢ４８」担当の高橋栄樹がカメラを構えれば、メンバーは「映画に使われるかも」と身構えていたでしょうが、映画にする予定がないとメンバーも思っていたからでしょうか、これまでの映画にはなかった、リラックスして完全にぐだぐだな姿勢と、スッピンの素顔と表情を見せているのですから……
ＡＫＢ４８については、その「ＡＫＢ４８商法」がいろいろと批判されていますが……この映画を観て、あらためて思うのは、ファン相手の「あこぎ」とも酷評される商売だけでなく、少女たちへの過酷な仕打ちもまた問題ではないか、と感じました。
「ＡＫＢ総選挙」も然り、「大組閣祭り」も然り。
その商売としての仕掛けにファンは盛り上がるけれど、少女たちは本気で感情を揺さぶられ、笑い、泣き、時にはショックの余り失神する……それを「商品」として提供するその姿勢には、例えとしては不謹慎ですがアダルトビデオ業界を連想されられました。
（アダルトビデオも、演技の出来ない素人同然の女性にセックスと言う刺激を与え、その生の反応を売り物にする商売です）
ただし、確かに、そうして一喜一憂する少女たちの姿に心動かされもする訳で、その辺りは「商売」の上手さと認めざるを得ない訳ですが……
映画としては、今回の映画も中心となるものが複数になり、焦点がぼやけてしまったような感じ。
本来のテーマとしては、大島優子の卒業、それによる世代交代……と言う所だったのでしょうが、２０１４年５月の握手会で起きた殺人未遂事件により、「会いに行けるアイドル」であるＡＫＢ４８の存在意義そのものを喪失する危機に襲われた、と言う衝撃の事実が、映画をどのように締めくくるべきかブレを生じさせたように思いました。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
高橋栄樹
■出演
ＡＫＢ４８
■コピー
■Ｌｉｎｋ
［戻る］