ＧＦ＊ＢＦ
女朋友 男朋友
これは、１９８５年から現在までの変動する台湾の中で、男女３人が織りなす愛と友情を綴った青春恋愛映画。
主演は「藍色夏恋」のグイ・ルンメイ。彼女は、これで台湾の映画賞、金馬奨最優秀主演女優賞を獲得しています。
１９８５年、戒厳令下の台湾。
高校でも軍の指導官が目を光らせる中、美宝、忠良、心仁の３人組は彼らなりの青春を謳歌していた。
ショートカットの似合うお転婆娘の美宝は、水泳部のエースでクールな忠良に惹かれているのだけど口に出せず、忠良も美宝が気になるのだけど、ある秘密があって、心仁に「美宝はただの友達だ」と言ってしまう。そして、広報部で民主化活動に熱心な心仁が美宝に告白して……
この映画、物語としては女ひとりと男２人の恋愛劇で、少女マンガやメロドラマによくある、ありきたりの設定ですが、これを、グイ・ルンメイが、報われない愛と届かぬ想いを、切なくも美しく演じます。そして、この物語を、戒厳令下の１９８５年に始め、学生運動盛んな１９９０年、そして経済発展著しい１９９７年を経て現代へ連なる、台湾の民主化運動と経済発展に重ねて描く構成が巧い。
それに、音楽の使い方も巧みで、時代を感じさせると共に心情を盛り上げるのに一役買っています。
また、この映画は語り口もいい。
背景の説明は最小限、言葉は決して多くなく、更に、メロドラマだったら最大の泣かせ所となる部分を思い切って省略してしまう辺りの潔さは只者ではありません。
緩急を使い分けたテンポもよく、この、長くて密度もある物語を１時間４５分でまとめたのもさすがだと思います。
気になったのは、この時間軸の長いの物語をひとりの俳優が演じる事でしたが、男ふたりの方は、さすがに高校生を演じるのは厳しかったものの、美宝を演じたグイ・ルンメイは文句なし。勿論、映画製作時に２８歳のグイ・ルンメイ、「藍色夏恋」の頃のままとは行きませんが、それでも変わらぬ体型と、溌剌とした元気さでちゃんと女子高生に見えるのですから……
やはり、グイ・ルンメイは、ショートカットでポーイッシュな美少女役がよく似合います。
また、実年齢相応の女性を演じた１９９７年の彼女も魅力的。白目の部分が広い、印象的な大きな瞳が、時にクールに光り、そして一杯に哀しみを湛える様には引き込まれます。
この映画での高評価にも納得、抜群の輝きを見せるグイ・ルンメイには魅了されっぱなしでした。
（２０１４年 ６月２９日 シネマート六本木にて）
（作品データ）
■監督
ヤン・ヤーチェ
■出演
林美宝 ・・・ グイ・ルンメイ
陳忠良 ・・・ ジョセフ・チャン
王心仁 ・・・ リディアン・ヴォーン
（その他のキャスト）
チャン・シューハオ ティン・ニン
■コピー
想いの深さだけ、僕たちは心に嘘をついた。
■Ｌｉｎｋ
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