超高速！参勤交代
これは、日本映画製作者連盟の新人脚本賞である城戸賞に入選した土橋章宏のシナリオの「鴨川ホルモー」の本木克英が映画化したもの。
時は八代将軍徳川吉宗治世下の享保二十年。
陸奥国磐城の小藩・湯長谷藩の藩主、内藤政醇は１年間の江戸勤めを終えて帰国した。ところが、そんな彼らに再び５日後に江戸に参勤せよ、との幕命が下る。
それは、湯長谷の金山を手に入れんが為に湯長谷藩を取り潰そうとする老中・松平信祝の企みであった。
４年前の飢饉の後遺症が残り、しかも参勤交代を終えたばかりの湯長谷藩に余裕は全くないが、政醇は湯長谷と領民を守るため、最小限の費用で通常８日かかる参勤を５日で行う、超高速参勤交代に出発するのだった……
この映画、知ってるようで意外と知らない参勤交代の実態を描くと言う、異色の着目点を持っています。
参勤交代は、幕府が地方の大名に経済負担をかける目的があるので、大名の石高に応じて整えなければならない体裁があり、それが関所ごとにチェックされる、と言うトリビア的な知識も好奇心を刺激しますし、予算のない中で、どうやってチェックを誤魔化し、体裁を整えるか、と言うあれやこれやの悪知恵の数々も楽しい。
基本はコメディ仕立てで、何か問題が起きると、湯長谷一の知恵者を自認する家老の相馬に「何とかせい」と押しつけてしまう、繰り返しのシチュエイションギャグには笑わされます。
内容的には盛り沢山で、超高速・超低予算の参勤交代を物語の軸に、老中の陰謀あり、笑いあり、チャンバラあり、果てには恋物語までも盛り込んでおり、異色アイデアの痛快時代劇として楽しめるものとなっています。
ただ、内容を盛り込み過ぎたせいか、個性的なキャストを揃えた湯長谷の家臣団のキャラがいまいち立たっていないのが惜しい。また、終盤の大チャンバラはどう見てもやり過ぎでしょう。
また、原発事故を踏まえた、福島・いわきの土地への想い（勿論、ロケに協力した地元への感謝の意だとしても）が、ダメ押し的にくどいのも気になりました。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
本木克英
■出演
内藤政醇 ・・・ 佐々木蔵之介
相馬兼嗣 ・・・ 西村雅彦
松平信祝 ・・・ 陣内孝則
お咲 ・・・ 深田恭子
徳川吉宗 ・・・ 市川猿之助
（その他のキャスト）
伊原剛志 寺脇康文 上地雄輔 知念侑李 柄本時生 六角精児 石橋蓮司
甲本雅裕 近藤公園 忍成修吾 和田聰宏 冨浦智嗣 舞羽美海 前田旺志郎
■コピー
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