ポリス・ストーリー
レジェンド
「ライジング・ドラゴン」にて、身体を張った本格アクションからの引退を宣言したジャッキー・チェンの最新作は、彼の代表作のひとつと言える傑作「ポリス・ストーリー」の新作。
ただし、本作は名前だけは受け継いでいるものの、その内容は過去の作品とは無縁なのですが……
クリスマスの繁華街、ベテラン刑事のジョンは、半年ぶりに会う事になる娘に呼び出され、若者相手のバーに向かった。強固は作りで警備も厳重なバーの様子を不審に思ったジョンだが、愛娘ミャオの豹変ぶりには更にショックを受ける。看護学校に通う真面目な娘だったミャオが、まるで商売女のような恰好をし、更に、何処か怪しげなバーのオーナーを恋人だと紹介したのだ。
さらに店内の揉め事に巻き込まれたジョンは、殴られて昏倒。
その後、何者かがバーを制圧して封鎖。犯行グループは、ジョンらを人質にバーに籠城し、警察にある要求を突きつける。
犯行グループのリーダーは、何とバーのオーナー。周到に用意されたこの計画の目的は……
「ポリス・ストーリー」と言えば、ジャッキーの代表作であり、カンフー・アクションだけでなく、派手なカースタントなども盛り込んだアクション映画の傑作だったのですが、これは、随分と趣が異なる映画です。
舞台はバーの屋内（とは言え、店舗はちょっとしたビル１棟ほどもあって中は広いのですが）と言う限定されたものになり、ジャッキー演じるジョン刑事も、跳ねっ返り娘に手を焼く父親と言う役柄も珍しい。この辺は「ラスト・ソルジャー」でもジャッキーに名もない農民兵の役を演じさせたディン・シェン監督ならでは、と言う所でしょうか。
趣としては、ジャッキー・チェン版の「ダイ・ハード」と言う感じか、と思いましたが、物語が進むにつれ、ジャッキーの映画らしい部分が見られるのが面白い所。
ジャッキーは相変わらず身体を張ったアクションを見せ、本格アクション卒業、と言う言葉も何処へやら、最近多かったドラマ重視の映画よりも激しいアクションを見せてくれます。
映画は、ドラマが進むに至って、「羅生門」スタイルで、ある事件を複数の視点で語らせ、その真相に迫って行きます。
成る程、これがあるから、これまで“咄嗟の判断”が生む結果を、実際に見せてまで描いて来た訳か、と思わせるストーリーにはなかなか見応えがあります。
ただし、語り口と演出に関しては、引っかかる部分もありましたが・・・
（誤った判断の生む結果を実際に描いて見せる描写がややくどい）
また、最後には父娘は和解に至り、犯人グループも含め主要登場人物が死ぬ事もなくまとめたエンディングは予定調和ながらも後味も悪くなく、娯楽作品としては上々でしょう。
まぁ、ジャッキー・チェンの“卒業宣言”は何だったんだ、と思いはしましたが、これはこれでなかなか面白い。予想以上に楽しめた映画でした。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
ディン・シェン
■出演
ジョン・ウェン ・・・ ジャッキー・チェン
ミャオ ・・・ ジン・テイエン
（その他のキャスト）
リウ・イエ グーリー・ナーザー リュウ・ハイロン ジョウ。シャオオウ ユー・ロングアン
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そして、伝説へ――。
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