ＭＯＮＳＴＥＲＺ
モンスターズ
これは、超能力者同士の戦いを描いた２０１０年製作の韓国映画「超能力者」を元にした、アクションサスペンス。
監督は「リング」の中田秀夫。
その目で見た者を自在に操る能力を持って生まれた男。だが、その力を持つが故に男は孤独だった。最小限の能力を使い、ひっそり暮らしてきた男だが、ある日、自分の力が通じない男・終一と出会う。
自分の能力が通じない、その存在に苛立ち、恐怖を感じた彼は、自分の世界から出て行けと終一に迫る。
だが、終一もある特殊な能力を備えていた……
藤原竜也と山田孝之と言う、若手実力派２人の競演で、「誰でも操れる男」と「唯一操れない男」の対決を描く構図。
このアイデアと構図は、恐らく元となった韓国映画から持って来たものでしょうけれど、なるほど、このアイデアは秀逸です。
キャスティングと言う点でも、これだけの際立つ個性を見せる２人のぶつかり合いには見応えがあります。
（目力と言う点では、キャスティングは逆の方がよかったかも……？）
中田監督は、手慣れたホラータッチの演出で、「男」に操られる人間の様子を、ほぼ演技だけで表現しているのはさすがですが、クライマックスの劇場のシーンは、まるで「ゾンビ」で、あれはいささかやり過ぎだったように思いました。
また、ラス前の墜落シーンは、いささか演出過剰で、あれじゃさすがの修一ですら助かるとは思えない……エピローグで、修一どころか「男」までもが生き延びていたのが意外に思える展開となってしまったのは何とかして欲しかった所です。
気になったのは、この映画、細かいツメが甘いこと。
２人の対決の“見せ方”に工夫がないので、物語が進むにつれて対決に向けてのテンションが下がってしまいますし、また「男」を追う、警察の無能さにも失笑させられるばかり。
サスペンスを盛り上げる為には、こうした部分をきちんと押さえておいて欲しいものです。
また、「男」の能力の発揮の影には、恐ろしい副作用があります。能力の発揮には、その代償が必要、と言う判り易い設定。ならば、その対照たる修一の能力にも何かの代償が必要ではないでしょうか？
こうして、「男」と修一を対照に描くことで、２人が対決しなければならない構図、そして、２人が人間とは異なる“怪物”である事が、よりはっきりするように思うのです。
本当、アイデアと構図が秀逸なだけに、もっと面白いものになったのでは、と言うもどかしさが残りました。
（２０１４年 ５月３１日 １０９シネマズＭＭにて）
（作品データ）
■監督
中田秀夫
■出演
「男」 ・・・ 藤原竜也
田中修一 ・・・ 山田孝之
（その他のキャスト）
石原さとみ 田口トモロヲ 落合モトキ 太賀晃 三浦誠己 藤井美菜 川尻達也
森下能幸 平山祐介 松岡恵望子 林田直樹 佐藤詩音 土師野隆之介
松重豊 木村多江
■コピー
禁断のバトル、勃発。
■Ｌｉｎｋ
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