ディス／コネクト
DISDONNECT
これは、スマートフォンの普及によって一般化したネットワークコミュニティに着目して作られた社会派ヒューマンドラマ。
ＳＮＳを心の拠り所にしてした、音楽好きな孤独な少年ベンは、ネット上に公開した自作の歌を誉めてくれた少女と親しく会話するようになるが、それは同級生の悪質ななりすましだった。
それとは知らずに裸体の写真を送付してしまったベンは、同級生にそれを公開されてしまい、大きなショックを受ける。
一方、その同級生も、厳しい父親とのコミュニケーション断絶に不満を募らせていた……
この映画、４つのエピソードを並行に進めて行きます。
孤独な少年ベンを巡るエピソード、ベンに悪戯を仕掛ける同級生の少年・ジェイソンと厳しい父・マイクのエピソード、すれ違い生活を送る夫婦がネット上の陥穽に嵌まるエピソード、そしてネットポルノに出演する少年・カイルとニュースキャスター・ニーナのエピソード。
それぞれのエピソードは微妙に重なりつつも並行して進行、それをザッピングするように見せて行くのです。そうした構成は、いかにも現代風ではありますが、観ている側にはかなりの集中力を要求するもので、油断をすると置いていかれそうになりました。
内容としては、親子や夫婦と言った家族の絆より、ネットの向こう側の相手とのコミュニケーションによる絆の方が、例えそれが偽りのものであったとしても心の支えになる事がある……と言う、「オンライン（ネット）とオフライン（現実）」と言う、ありがちな対比からさらに一歩踏み込んだもの。
ネット上での“偽りの自分”の方が“リアルな自分”よりも本心で語る事が出来、人と心を繋ぐ事が出来ると言うエピソードや、失われて初めて判る家族の絆などの描写にも見応えがあります。
ただ、少年とニュースキャスターのエピソードは、その世界がネットワークと言う誰にでもアクセス出来るものではなく、ＴＶと言うマスコミを含めていること、また、これだけが他のエピソードからの独立性が高いと言う点から、ちょっと浮いた感じがありました。このエピソードは思い切って整理してしまった方がよかったようにも思いました。
繋がっていたい心と、壊れてしまった家族と……そんな人々を描き、決して安易なハッピーエンドには至らず、哀愁と余韻を残した終わりで締めくくったこの映画、正に現代を映し出す映画になっているように思えました。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ヘンリー＝アレックス・ルビン
■出演
ベン・ボイド ・・・ ジョナ・ボボ
リッチ・ボイド ・・・ ジェイソン・ベイトマン
ジェイソン・ディクソン ・・・ コリン・フォード
マイク・ディクソン ・・・ フランク・グリロ
デレック・ハル ・・・ アレキサンダー・スカルスガルド
シンディ・ハル ・・・ ポーラ・パットン
カイル ・・・ マックス・シェリオット
ニーナ・ダナン ・・・ アンドレア・ライズフロー
（その他のキャスト）
ヘイリー・ラム ホープ・デイビス ミカエル・ニクヴィスト マイク・ジェイコブス
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