ネイチャー
ＮＡＴＵＲＥ
これは、「ディープ・ブルー」や「アース」などのネイチャードキュメンタリーを製作して来たＢＢＣ ＥＡＲＴＨの最新ドキュメンタリー映画です。
映画原題は「ＥＮＣＨＡＮＴＥＤ ＫＩＮＧＤＯＭ」ですから、直訳すれば「魔法の王国」とでもなるでしょうか・・・鬱蒼とした密林、灼熱の砂漠、燃えさかる地下、神秘の海中世界、凍てつく高山に、乾いた平原・・・と人間の住む世界とは違う、様々な世界にカメラを持ち込み、そこに息づく命を写し撮ろうとするものとなっています。
その舞台となるのは、全てアフリカとなっており、その意味では、「ネイチャー」と言う日本版タイトルにはちょっと違和感を覚えました。
ＢＢＣのスタッフは、今回、初めて高精細の４Ｋ・３Ｄカメラを用い、５７３日もの年月をかけて撮影を行ったとのこと。
エンドロールの後に添付されたメイキング映像を見ると判りますが、４Ｋ・３Ｄカメラは余りに重くて大きく、それを現場に持ち込んだ苦労は並大抵のものではなかったと思いますし、メイキングを見ても尚、どうやって撮ったのだろう？と思うようなカットが幾つもあります。
また、そうして苦労して撮った４Ｋ・３Ｄ映像は素晴らしい高精細にして大迫力。
特に、ビクトリア大瀑布や、打ち寄せる大波など、水関係の描写は素晴らしく、これは映画館で観る価値ありです。
ただ、内容的には、ＢＢＣから提供を受けているＮＨＫのネイチャードキュメンタリー番組で公開されているようなものが多く、余り目新しいものがなかったのはちょっと残念。
また、ゴリラの家族が寛いでいるシーンなど、４Ｋ・３Ｄで見せる必要もないシーンがやけに長いのも気になりました。
映画としては、４Ｋ・３Ｄならではの迫力のあるシーンを繋いでいった方がよかったのではないでしょうか？
また、ＢＢＣのドキュメンタリーは、これまで真面目で、時として説教臭い内容でしたが、この映画では、自然なものではない、演出をしている部分が目につきました。
ジャック・ペランの「ＷＡＴＡＲＩＤＯＲＩ」や「オーシャンズ」の方向性とでも言うのでしょうか・・・この辺り、方向性がブレているように感じますし、そうした“演出”にも関係するかも知れませんが、科学的に見た場合、それは如何なものか？と思わせるような説明が一部にあったのも残念。
勿論、全体としては良心的な作りで、日本では全て吹き替え版での公開と言うことで観客を選ばない、言わば「映画館で観る動物園」としてはいい出来と思いますが・・・
（２０１４年 ５月２日 にて）
（作品データ）
■監督
パトリック・モリス／ニール・ナイチンゲール
■ナレーション
日本語版：滝川クリステル
（オリジナル：イドリス・エルバ）
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史上最高の地球旅行へ。
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