魔女っこ姉妹のヨヨとネネ
これは、ひらりんのオリジナルコミックス「のろい屋しまい」を長編劇場用アニメ化したもの。
魔の国で「のろい屋」として呪いをかけたり解いたりすることを稼業にしているヨヨとネネの姉妹は、家の前に突然現れた奇怪な建物にびっくり。
姉のヨヨは調査の為に建物に入り、そこで見かけた人影を追いかけたのだが、仕掛けられていた魔法陣によって見知らぬ世界に飛ばされてしまう。
そこは、現代の人間界。
そこでは、人間が突如化け物になってしまう、と言う事件が起きていて・・・
これは、現代社会で「魔女っ子」が活躍するファンタジーアニメ。
対象年齢としては、登場人物からして小・中学生向けと言う所でしょうけど、物語のスケールも大きく、尚且つ設定も凝っていて、大人が観ても楽しめるものになっています。
ポップでカラフルな色使いも楽しいし、キャラクターをちゃんと動かして描くアクションもなかなか。アニメとしての出来は凄く高いと思います。
ただ・・・問題だと思うのは、物語の語り口が不親切なこと。
この物語、原作コミックがある訳で、原作ファンにはこれでもいいのでしょうけど、物語世界、特に魔の国の各種設定が判らないのです。
例えば、姉のヨヨが、妹のネネよりどうして幼いのか（これは、ヨヨが氷漬けにされていて年を取っていなかったから、らしいのですが）、それから、ヨヨの魔法の実力とか・・・
また、魔の国では“死”の概念がそれほど重要ではない、と言う辺りは、ストーリー上の大きな要素なので、きちんと説明が欲しかった所です。
（台詞などからイメージ出来るものはあるのでしょうけど、推理させられる分、物語世界に入り込めなくなってしまう）
また、亜希とその父親は、「おおかみこどもの雨と雪」の影響大・・・と言うか、おおかみおとこと、雪の幼少期そのまま、と言う感じだったのも、気になった部分です。
クライマックスのシーンの、「人々の我が儘な願いごと」が世界を破滅に導き、そして、危機に瀕して漸く出て来た「誰かを思いやる」気持ちが、破滅から救う事になる、と言う展開は、少々あざとい感じはありますが、確かに感動的でもあるし、考えさせられもします。
ただ、自然災害など、危機に面して発揮される「思いやり」と「結束」を見れば判るように、そこまで追い込まれないと、人は大抵、我が儘な自分から抜け出せないのかも知れない・・・そんな事を考えさせられてしまうこの映画、確かに見応えのあるもの。それだけに、語り口の不親切さを惜しい、と思いました。
（２０１４年 １月 ３日 横浜ブルク１３にて）
（作品データ）
■監督
平尾隆之
■出演
ヨヨ ・・・ 諸星すみれ
ネネ ・・・ 加隈亜衣
孝洋 ・・・ 沢城みゆき
（その他のキャスト）
櫻井孝宏 佐々木りお 子安武人 中川翔子 長克巳
本田貴子 水上恭子
■コピー
かけます！ときます！のろい屋しまい！
■Ｌｉｎｋ
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