| プレーンズ |
これは、自動車を擬人化し、独自の世界を創り上げたディズニー／ピクサーのアニメ「カーズ」のスピンオフ作品で、主人公はタイトル通り飛行機になります。
ただし、この作品の製作にはピクサーは関わっておらず、これはディズニーで作られました。
（「カーズ」監督のジョン・ラセターも製作総指揮では加わっていますが・・・）
田舎町の農薬散布機、ダスティはトウモロコシ畑で農薬撒きの毎日を過ごしていた。
そんな彼の夢は、トップレーサーが集う世界一周レースへの出場。
飛行機として生まれたからには、畑の上だけで一生を終えるのではなく、広い世界を見てみたい・・・そんな夢を後押ししてくれる友人たちと、コーチ役を買って出てくれた退役戦闘機のスキッパーのお陰で、ダスティは世界一周レースの予選に出場するのだが・・・
この映画、内容的には「カーズ」の焼き直しと言ってもいいでしょう。
主人公を支える騒々しい友人と、コーチについた大先輩。レースに挑むうちに新しい仲間も出来て、そして最後には勝利する・・・典型的なサクセスストーリーです。
もっとも「カーズ」の場合、主人公は既に実績あるレーサーで、その挫折を復活を描くものだったのに対し、この映画の主人公は、農場仕事の無名の若者、と言う設定になっており、キャラクター設定としては、青春・サクセスストーリーの正に王道と言えるものになっています。
そうした安定感のあるストーリーは、特異な世界観を持つ映画を受け入れ易くするものでしょうけど、既に「カーズ」と言う映画があって、その世界観を踏襲する、この映画にとっては目新しさを欠くものになってしまったようにも思います。
ただ、映画の大半を占める飛行シーンは、素晴らしいもの。
さすが、ジブリ映画の薫陶を受けて来た、ジョン・ラセターが総指揮を務めるだけあって、宮崎アニメに勝るとも劣らない飛翔シーンの爽快さ、そしてスピード感の与える映画的な快感はかなり高い。
また、主人公・ダスティのモデルとなったエアトラクターを始め、マニアックな機種選定を確かなリサーチで描く、「カーズ」譲りの拘りも見逃せません。
ただ、意外だったのは、対象年齢層が明らかに低いのにも関わらず、「軍隊」と「戦争」の描写が、かなり色濃く入っていること。
ディズニーはともかく、ピクサーのアニメでは珍しい事だと思うのですが、これはやはり、航空機とは「呪われた夢」の産物であり、その発展には軍事と戦争が欠かせなかったと言う、正に宮崎駿の抱えるジレンマを、ジョン・ラセターも無視出来なかった、と言うことなのかも知れません。
（２０１３年 １２月３１日 ＴＯＨＯシネマズ川崎にて）
（作品データ）
■監督
クレイ・ホール
■出演（日本語吹き替え版）
ダスティ・クロップホッパー ・・・ 瑛太
スキッパー ・・・ 石田太郎
（その他のキャスト）
天田益男 甲斐田裕子 河本邦弘 井上芳雄 森田順平
仲里依紗 小林沙苗 山口智充 林勇 間宮康弘 立木文彦
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