これは、マーティン・スコセッシ製作総指揮、リュック・ベッソン監督による異色のマフィア映画。

　舞台はフランスのノルマンディー。
　そこに引っ越して来たイタリア系アメリカ人一家には秘密があった。
　一家の主、フレッドは元マフィアの大物で、司法取引によって仲間を売ったと見られ、マフィアから命を狙われているのだ。
　ＦＢＩは、証人保護プログラムによって一家を保護、偽名を与えて各地を転々とさせているのだが、この一家は、行く先々で騒動を起こして・・・

　この映画、キャストはなかなか豪華。
　フレッドには、マフィアものなら定番でしょう、と言う感じのロバート・デ・ニーロ、その妻にミシェル・ファイファー。ＦＢＩの担当者にはトミー・リー・ジョーンズ。　

　この物語は、基本的にはフランスのど田舎にやって来たマフィアが、周囲との関係の中で生み出すシチュエーションコメディと言った趣。
　いい年になっているのに気が短く、気に障るヤツは徹底的にブチのめさないと気が済まないフレッド、同様に気に入らない買い物先を片端から吹き飛ばしてしまうので、買い物先がどんどん遠くなって行く妻、息子も、暴力と恐喝、買収によって瞬く間に学校を支配下に置いてしまう・・・と、それぞれに個性的で、娘の初恋と処女喪失などは、こうなると微笑ましいとしか言えないエピソードになるでしょう。
　ただ、そうしたコメディ描写が笑えるものであるか、と言うと、ちょっとブラックな部分が多くて引いてしまう部分があります。
　まぁ、フランス人らしく、イタリアとアメリカの食文化を比較しての食い物ネタは面白いのですが、爆笑と言うよりも、にやり、とするに止まる感じです。

　それでも、一家が、田舎の平和な町で引き起こす騒動・・・に止めておけば、この映画、まだ笑えるコメディになったのでしょうが、この映画、フレッドを追うマフィアの殺し屋のエピソードを中心に持って来たせいで、気楽に笑えない映画になってしまいました。
　要は、人が死に過ぎるのが気になるのです。
　冒頭、人違いで殺される一家を始め、殺されなくてもいい人がバタバタ殺される・・・それをコメディとするのはどうかな、と思ってしまい、どうにも乗り切れませんでした。
　かと言って、クライマックスの殺し屋との死闘も決して痛快なアクションではなく、コメディとしても、アクションとしても、サスペンスとしても、何となく寸足らずな感のある、微妙な映画だなぁ・・・　

　（月日　にて）

（作品データ）

　■監督

リュック・ベッソン　

　■出演

　フレッド　・・・　ロバート・デ・ニーロ
　マギー　・・・　ミシェル・ファイファー

　ロバート・スタンスフィールド　・・・　トミー・リー・ジョーンズ

（その他のキャスト）
　ディアナ・アグロン　　ジョン・ディレオ

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この“ファミリー”に要注意。　

　■Ｌｉｎｋ

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