キャリー
ＹＯＵ ＷＩＬＬ ＫＮＯＷ ＨＥＲ ＮＡＭＥ
これは、スティーブン・キングの同題小説を、ブライアン・デ・パルマが映画化した傑作ホラーのリメイク。
主演は、「キック・アス」でブレイクした美少女、クロエ・グレース・モレッツ。
狂信的なキリスト教信者で、性を罪悪として育てられたキャリーは、内向的な性格のせいもあって、高校でも孤立していた。
ある日、体育の授業後のシャワーで、遅い初潮の出血にパニックを起こした（母はキャリーに生理の事を教えていなかった）キャリーを、クラスメイトの女子が面白がって集団でいじめる事件が起きる。
その事に罪悪感を抱いた、才色兼備でクラス１の人気者のスーは、せめてもの罪滅ぼしに、彼女のボーイフレンドのトミーにキャリーを誘ってプロムへ参加するように依頼して・・・
映画は、１９７６年のデ・パルマ版と殆ど同じ流れをとっています。
もっとも、７０年代の時代を背景に、厳格な親世代に反抗する若者、と言う対立構造を映画に反映していたデ・パルマ版に対し、２１世紀の現代では、そうした世代の対立構造は説得力がなく、冒頭にキャリーの出生シーンを入れ、その異様な展開で、母親の狂気を際立たせる、と言う描写を入れています。
これにより、「キャリー」と言う物語の持っている意味が大きく変わってしまっています。
虐げられた者、弱き者が、その隠れた力を振るう、と言うオリジナルから、母と娘、臍の緒で繋がれた女の話になっているのです。
（まぁ、確かにキンバリー・ピアースらしいと言えばそうなのですが）
ただ、この映画の最大の問題は、主演のクロエ・グレース・モレッツ。
若手一番の人気と実力は否定出来ないのですが、いかにも健康的で美しく成長しつつある彼女に、キャリー・ホワイトと言う役が適役であったかどうか。
「キック・アス２」の準備のためにビルドアップしたせいで、胸板も厚ければ二の腕にも筋肉がつき、いじめっ子など、超能力など使わなくともその腕っ節で叩きのめしてしまいそうに思えます。
確かに、神経質そうな演技でいじめられっ子を巧みに演じてはいるのですが、プロムの会場での本来の笑顔を見てしまうと、その前の役作りにどうしても不自然さを感じてしまいました。
その点では、デ・パルマ版のシシー・スペイセクはハマり役だったのだなぁ、とあらためて思ってしまいました。
（２０１３年 １１月１５日 横浜ブルク１３にて）
（作品データ）
■監督
■出演
キャリー・ホワイト ・・・ クロエ・グレース・モレッツ
マーガレット・ホワイト ・・・ ジュリアン・ムーア
スー・スネル ・・・ ガブリエラ・ワイルド
（その他のキャスト）
ポーシャ・ダブルデイ アレックス・ラッセル ゾーイ・ベルキン アンセル・エルゴート サマンサ・ワインスタイン
カリッサ・ストレイン ジュディ・グリア ケイティ・ストレイン バリー・シャバカ・ヘンリー デメトリアス・ジョイエット
■コピー
最も恐ろしく、切ない青春。
■Ｌｉｎｋ
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