パッション
これは２０１０年のフランス映画「ラブ・クライム」（日本未公開）を、ブライアン・デ・パルマ監督がリメイクしたもの。
広告代理店コッチ・イメージのベルリン支社では、新しいスマートフォンの宣伝企画を進めていた。
宣伝部長のイザベルは斬新なアイデアを思いつき好評を得るが、支社長のクリスティーンはこれを自分の手柄にしてしまう。
その場は堪えたイザベルだったが、自分のアイデアがクリスティーンの手で改悪されてしまうことには我慢ならず、独断で新しいキャンペーンを本社に提案。クリスティーンの栄転もなかった事にされてしまう。
これに怒ったクリスティーンは。あの手この手で、イザベルを潰そうとし、その精神的な重圧から、イザベルは精神のバランスを失っていくのだった。
そして・・・
物語は、広告会社の女性重役同士の、女性ならではの陰湿な足の引っ張り合いに始まります。
反抗心から、支社長の恋人を寝取ろうとするイザベルも誉められたものではないのですが、その恋人に引っかかったフリをさせ、そのセックスをビデオ撮影、後で笑いものにするクリスティーンの報復はかなりエゲツない。
この性悪女のクリスティーンを演じたのはレイチェル・マクアダムスで、天真爛漫な明るい役柄が多い彼女としては、意外にも思える役柄ながら、まるで悪意なく、他人を踏みにじって行く様を、これまで同様、無邪気に演じています。
イザベル役は、ノオミ・ラパスで、華やかなクリスティーンに対し、ダークな印象で好対照を見せます。
また、物語の舞台はドイツ・ベルリンで、女優も、アメリカ／スウェーデン／ドイツと国籍バラバラ、洗練された混沌と言う、独特の雰囲気も面白い所。
しかし、映画の見所は後半。
イザベルが精神的に追い込まれていく辺りから、デ・パルマ色が強まり、現実とも夢とも判別し難い状況のまま、映画はクライマックスへと突っ走ります。
殺人のシーンには、デ・パルマお得意のスプリット・スクリーンを用いるなど、ケレン味もたっぷりで、最後は夢オチと見せつつ、きっちりを片をつける、そんな辺りもデ・パルマ流。
ブライアン・デ・パルマ、７３歳にして未だこんな映画を撮るとは・・・
（２０１３年 １０月 ４日 ＴＯＨＯシネマズ川崎にて）
（作品データ）
■監督
ブライアン・デ・パルマ
■出演
イザベル ・・・ ノオミ・ラパス
クリスティーン ・・・ レイチェル・マクアダムス
ダニ ・・・ カロリーネ・ヘルフント
（その他のキャスト）
ポール・アンダーソン ライナー・ポック ベンジャミン・サドラー ミヒャエル・ロツショップ
■コピー
女の敵は、女。
■Ｌｉｎｋ
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