謝罪の王様 |
これは、水田伸生監督、阿部サダヲ主演のコンビによる、「舞妓 Haaaan!!!」、「なくもんか」に続く映画第３弾。
今回は、脚本にＮＨＫドラマ「あまちゃん」で一躍、知名度を上げた宮藤官九郎を起用すると言う鉄壁の布陣となっています。
ヤクザ相手に事故を起こし窮地に追い込まれていた、帰国子女の倉持典子が頼ったのは、「謝って済むから警察はいらない」をモットーに如何なる問題も謝り倒して解決すると言う「東京謝罪センター」の黒島譲だった。
組事務所に乗り込んで事態収拾を果たした黒島への諸費用支払いと、日本の“謝罪文化”を学ぶために、典子はそのまま「東京謝罪センター」で働く事になった。
そんな「東京謝罪センター」には、様々な問題を抱えた依頼者が次々にやって来て・・・
映画公開前、似た設定のマンガがある（土下座して事態を解決する主人公を描く「どげせん」）と言う事でも話題になりましたが、この映画に登場する「謝罪師」とはなかなか面白いアイデアです。「人は（償って欲しいのではなく）、ただ謝って欲しいだけ」と言う、人の心理を見事に掴んだセリフなどもあり、その着眼点はさすが宮藤官九郎です。
表層からは窺い知れないドラマを潜ませる辺りも巧み（特に、大物俳優の息子のエピソードなど）ですし、オムニバス風に思えた、エピソードが、思いも寄らぬ形でひとつになっていくクライマックスへ向けての展開には唸らされました。
豪華なキャストが、日頃は見せないコミカルな演技を見せるのも見所ですし、水田監督ならではの勢いのあるコメディを演じ切る阿部サダヲは、正に息の合ったコンビ、と言う感じで確実に笑いを引き出します。
しかし・・・ヒロイン、倉持典子に井上真央を起用し、彼女をあそこまでブスに撮ると言うのにはオドロキ、です。
ただ、これは宮藤官九郎脚本の問題なのか、監督の演出なのか、ちょっとダラダラした感じの場面が目立ちました。
特に、クライマックスの国家間問題は、繰り返しの続く展開にちょっとしつこい感があったのが残念。
確かに、最後に日本国総理大臣の謝罪を見せると言う展開はいいとしても、この手のコメディは、水田監督が「舞妓 Haaaan!!!」で見せたようなスピード感のある演出で、テンポよく見せて欲しかった所です。
（２０１３年 ９月２８日 １０９シネマズＭＭにて）
（作品データ）
■監督
水田伸生
■出演
黒島譲 ・・・ 阿部サダヲ
倉持典子 ・・・ 井上真央
（その他のキャスト）
竹野内豊 岡田将生 尾野真千子 荒川良々 濱田岳 松本利夫 川口春奈
鈴木伸之, 小松和重 笠原秀幸 美波 真飛聖 柄本時生 野間口徹
六角精児 中野英雄 白井晃 濱田マリ 嶋田久作 池田鉄洋 中村靖日
松尾諭 深水三章 井上琳水 大川ヒロキ 岩松了 小野武彦 津嘉山正種
高橋克実 松雪泰子
■コピー
謝るとき、人は誰でも主人公。
■Ｌｉｎｋ
［戻る］