定時日の月曜、恒例の映画鑑賞に選んだのは「ＣＯＷＢＯＹＢＥＢＯＰ　天国の扉」。
　これは、人気ＴＶアニメ「ＣＯＷＢＯＹＢＥＯＰ」の映画版。「ＣＯＷＢＯＹＢＥＢＯＰ」は、元々、ＴＶアニメとは思えない完成度の高さと、大人にも楽しめる作風が特徴でしたが、映画版は、そんな美点をそのままに更にグレードアップしています。

　人類が太陽系全域を、その居住空間とした未来。
　執行力の低下した警察に代わり、賞金と引き替えに犯罪者を捕らえる「ＣＯＷＢＯＹ」たちが活躍していた。
　主人公は、訳有りの過去を持つＣＯＷＢＯＹのスパイク。それに、ゴツイ見かけの割には世話女房タイプの相棒、ジェット。自由奔放で自己中心的な女賞金稼ぎのフェイ。正体不明の天才ハッカー、エド。遺伝子操作による天才犬のアイン、と言う、４人と１匹が、宇宙船「ビバップ」号を舞台に繰り広げる物語、それが「ＣＯＷＢＯＹＢＥＢＯＰ」です。
　そのキャラクター設定、そして作品全体の雰囲気から、本作は”宇宙版の「ルパン３世」”と呼ばれていました。
　まぁ、キャラクター設定など、意識している所は確かにあると思うけど、私的には、故沖雅也氏が主演のＴＶドラマ「俺たちは天使だ！」との類似性も感じます。
　そんなビバップの、今回の舞台は火星。
　アルバシティで、賞金首を追跡中のフェイの目前で、追跡していたタンクローリーが爆発。その後、周囲で多数の死者が発生。
　生物・化学兵器による無差別テロ事件と考えた火星政府により、犯人には多額の賞金が懸けられた。
　スパイクたち４人は、それぞれのやり方で犯人に迫るのだが・・・

　物語としては、当然、ＴＶシリーズの最終回の前、主要キャラが全員揃っている頃のエピソードに相当するのでしょう。
　（なんたって、ＴＶ版の最終回がアレでは続編など作りようがない(^^;）
　内容としては、基本的には一話完結だったＴＶ版の１話を膨らませたようなもので、映画版だからと言って、やたらとスケールを大きくしたり、と言うような事はありません。

　宇宙版の「ルパン３世」と言われる本作だけれども、さすがにルパンほどの知名度はないとして、序盤に世界観と登場人物の生業が判るエピソードを挿入して、ＴＶ版を観ていない観客にも混乱しない程度の説明をしているのは、作り手の良心を感じさせる部分です。
　それでいて、ＴＶ版を観ていても、説明が煩雑に感じられない程度に抑えている辺りのバランス感覚はなかなかのもの。

　アクションシーンの格好よさと、全体的な雰囲気のよさは、ＴＶ版からの変わらぬ美点。
　もう、これ観ると、格好いい日本映画は、アニメじゃないと出来ないのかなぁ、って思ってしまいますね。
　アクションシーンは相変わらずと言うか、劇場版になって更に魅せます。
　モップを使った格闘シーンなど、本場・香港のカンフーアクションもかくや、と思わせる出来でしたし、後半にある空中戦のシーンもスピード感、迫力共に満点。
　とにかく、凄くよく出来ていて、ＴＶ版を観ていた人を失望させるような事はないのは確かです。

　物語の方は、これは「パトレイバー」映画版を連想させる部分が大。
　「地獄から生還した後、この世界に現実感を持てなくなった男」のエピソードは、「パトレイバー２」そのままと言っていいですし、「胡蝶の夢」などは正に押井ワールドのキーワードそのものです。

　とにかく、中身が濃くって、終盤には「お腹一杯」ってな感じになってしまう本作、これはなかなかの力作です。

　（９月３日　ワーナマイカルシネマズつきみ野にて）

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