エンド・オブ・ウォッチ

　これは、ロスアンゼルス警察全面協力の元に作られた、リアル警察ムービー。

　ロスアンゼルスの犯罪多発地区、サウス・セントラルを担当するパトロール警官コンビのテイラーとザヴァラ。ここは警官でさえ安心出来ない危険地域で、パトロール中に銃を抜くこともしばしば。銃撃戦で容疑者を射殺した事もある。
　だが、彼らは決してヒーローなどではない普通の警官だった。
　テイラーは、“Ｙｏｕｔｕｂｅｒ”と言われる動画投稿マニアで、勤務中もカメラを回してネタの動画撮影に余念なく、ザヴァラは家に帰ればよい夫で、子供の誕生を心待ちにしている。
　その日ふたりは「祖母と連絡が付かない」という通報に応じて一軒の家に向かった。簡単な仕事と思っていたこれが、地獄の釜の蓋を開ける大事件につながっていく……

　この映画、パトカーの記録用カメラの映像に始まり、それからも動画投稿マニアのテイラーが撮影した映像を繋いで行きます。
　そう言ったＰＯＶ（主観映像）の多用と言うか、“その場”にあったカメラの映像に拘って作られた映像は臨場感満点。ドキュメンタリーと見紛うようなリアリティ溢れるものになっています。
　（事実、映画に描かれるエピソードの多くは実際にあった事件なのだとか……）
　しかも、デヴィッド・エアー監督、若い頃にサウス・セントラルで暮らしていたと言う経験を活かし、実際にサウス・セントラルの中でロケ撮影したと言うのです。
　犯罪多発地域で、警官の扮装をするのですから、ひとつ間違えれば実際の犯罪に巻き込まれかねません。この辺りはよくもまぁ、と言う感じです。

　主演のジェイク・ギレンホールとマイケル・ペーニャは、警察で５ヶ月間もの訓練を積んだそうで、役作りとしては充分以上。
　危険地域では、地元ギャングと世間話をする際にも事態急変に備えて撃鉄を起こした拳銃をクルマのドアの影で構えているなどの描写にも唸らされます。
　テイラーの恋人役のアナ・ケンドリックは、これまでお堅い役ばかりを見て来たのですが、今回はなんともチャーミングな役柄で、意外にも（？）豊かなバストにもびっくり。
　
　脚本もよく練られているし、演出も手堅く、これを超えるリアルな警察映画は難しいと思う中、ひとつ残念だったのは、ＰＯＶ映像に拘る余り、終盤のギャング団の襲撃をも彼らの撮影映像としたこと。
　札付きの悪である彼らが“警官殺し”の証拠を残すような撮影をするなど考えられず、この一連のシーンはいささか不自然に感じてしまいました。

　（８月２３日　にて）

（作品データ）

　■監督

デヴィッド・エアー

　■出演

　ブライアン・テイラー　・・・　ジェイク・ギレンホール
　マイク・ザヴァラ　　　 ・・・　マイケル・ペーニャ

　ジャネット　・・・　アナ・ケンドリック

（その他のキャスト）
　ナタリー・マルティネス　　デヴィッド・ハーバー　　フランク・グリロ　　アメリカ・フェレーラ
　クリー・スローン　　ハメイ・フィッツシモンズ　　コディ・ホーン　　ションドレラ・エイヴリー
　モーリス・コンプト　　ヤヒラ・“フラキス”・ガルシア

　■コピー

これが、ロス市警のリアル。　

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