タイピスト！
これは、レジス・ロワンサル監督のデビュー作。
かつてビジネスに欠かせないスキルだったタイピングの早打ちコンテストを描く映画です。
１９５０年代のフランス・ノルマンディーが舞台。
田舎の雑貨屋の一人娘のローズは、家出するように実家を飛び出し、小さな保険会社で秘書として働く事になる。
だが、余りにも不器用なローズに秘書は務まらなかった。
だが、若社長のルイは、ローズのタイピングの才能に注目。タイプの早打ちコンテストに出場する事を条件に社に残留することを認めるのだが・・・
この映画、往年のハリウッド映画の影響が濃厚。
鮮やかでテンポのいいオープニングは、正にそのまま、と言う感じですし、映画の描く５０年代は、正にハリウッド黄金時代です。
そして、物語は、これまたアメリカ映画の描く、青春・サクセスストーリーで、それにロマンスを合わせるのですから、これはもう、映画としては王道の作り。
更に、この映画、タイプの早打ちコンテストを描くのですが、これがもう、正に真剣勝負の「競技」で、スポ根ものとしての面白さもあるのです。
これはもう、自分的には、一番ハマってしまうタイプの映画で、これは楽しい１本でした。
ヒロインのローズは、若手女優のデボラ・フランソワ。
宣伝文句の「ヘップバーンの再来」は、さすがにリップサービスも度が過ぎているように思うのですが、確かに、かつてのヘップバーンを思わせるハリウッドヒロインを彷彿とさせるキャラクターになっています。
冒頭の田舎娘丸出しのスタイルが、徐々に洗練され、クライマックスでは立派なレディとなっている、その変貌ぶりも見物でしょう。
タイプの早打ち競技の様子も興味深く、面白くはあったのですが・・・ちょっと無理があるなぁ、と思ったのは世界選手権に韓国代表がいたこと。１９５９年じゃ、朝鮮戦争停戦直後で、韓国、そんな余裕はなかったんじゃないだろうか・・・？
サクセスストーリーのスポ根もの、と言うアメリカ映画の定番もののスタイルをとりながら、ロマンスにも抜かりないのがさすがフランス映画、と言う所でしょうか。
いちいち艶笑でオチをつけていくのもらしい所ですし、サクセスだけでなく、恋もしっかり実らせる、と言う結末もフランス映画らしい。
努力と根性のスポ根も、フランス人の手にかかると、このようにお洒落に仕上がると言う部分に感心しました。
（２０１３年 ８月１８日 １０９シネマズＭＭにて）
（作品データ）
■監督
レジス・ロワンサル
■出演
ローズ・パンフィル ・・・ デボラ・フランソワ
ルイ・エシャール ・・・ ロマン・デュリス
（その他のキャスト）
ベレニス・ベジョ ショーン・ベンソン ミュウ＝ミュウ メラニー・ベルニエ ニコラ・ブドス
エディ・ミッチェル フレデリック・ピエロ フェオドール・アトキン マリウス・コルッチ
■コピー
■Ｌｉｎｋ
［戻る］