マジック・マイク
これは、スティーブン・ソダーバーグ監督による異色の青春映画。
“異色”となる要素は、主人公が、男性ストリップダンサーであること、そして、主演のチャニング・テイタムが、実際に男性ストリップクラブでダンサーとして働いていた経験があり、この映画は、その経験に基づき、チャニング・テイタム自身のプロデュースで作られたものである、と言うことです。
物語の舞台はフロリダ州タンパ。
３０歳になるマイクは、実業家を目指し、屋根葺きや出張洗車サービス、そしてオーダーメイド家具製作と様々な仕事に取り組んでいた。
しかし、彼にとって最も稼げる仕事は、男性ストリップクラブのダンサーで、彼は“マジック・マイク”と言うニックネームで知られるクラブＮｏ．１の売れっ子ダンサーだった。
ある日、マイクは、屋根葺きの仕事で出会った若者、アダムをクラブに連れて行き、手伝いをさせることにした。
だが、アダムは意外なステージ度胸を見せて、クラブのオーナーに気に入られ、正式にダンサーとして働くことになる・・・
この映画の見所は、やはり色気のある肉体派俳優、チャニング・テイタムの見せるセクシー・ダンスと言う事になるのでしょうか・・・
（確かに、その身体能力が生み出す、余り見慣れない男性のセクシーダンスは、一見の価値アリだとは思いますが）
宣伝文句では「最高の女子会ムービー」とされ、映画内の女性の反応からも、そこがウリではあるように思うのですが（もっとも、日本の女性がストリップにああ言う反応を見せるとは思えないけど・・・）、男である自分には、ちょっとひいてしまう場面も多かったり・・・
途中から、これは日本で言えばホストクラブのようなものだ、と認識をしましたが・・・まぁ、自分の知らない世界をのぞき込む、と言う点では「面白い」部分があったのは確かです。
宣伝では、「チャニング・テイタムの自伝的ストーリー」とも言われますが、彼がストリップクラブで働いていたのは２０前と言いますので、その経験は、マイクよりもアダムに反映されているのだろうなぁ、と思います。（まぁ、そのアダムをああ言う人物に描いてしまう辺り、ソダーバーグも辛辣です）
描く世界は刺激的なのですが、内容の方は意外にも凡庸で中途半端。
青春映画を「何でもない若者が何かになる物語」と定義した場合、マイクが、まだ何になるかの方向を掴んでいないまま終わってしまう物語は、その条件を満たさず不発ですし、アダムが対象としたら、更に尻切れトンボの描写で終わってしまっています。
まぁ、これを、マイクとアダムの姉であるコディの恋愛ものと見れば、一応の決着はついているのですが・・・それにしても、あまりいいストーリーとは思えません。
しかし、そんなピリっとしない映画を最後に締めてしまうのが、クラブオーナーのダラスを演じるマシュー・マコノヒー。
特に終盤のステージは、正に彼のワンマンショー。
華やかで怪しい、男性ストリップの世界を正に体現して見せたマシュー・マコノヒーの怪演が、大分ポイントを取り戻したような印象です。
（２０１３年 ８月 ９日 １０９シネマズＭＭにて）
（作品データ）
■監督
スティーブン・ソダーバーグ
■出演
マイク ・・・ チャニング・テイタム
アダム ・・・ アレックス・ペティファー
ダラス ・・・ マシュー・マコノヒー
ブルック ・・・ コディ・ホーン
（その他のキャスト）
オリヴィア・マン マット・ボマー ライリー・キーオ ジョー・マンガニエロ ケヴィン・ナッシュ
アダム・ロドリゲス ガブリエル・イグレシアス ジェイムズ・マーティン・ケリー リード・キャロリン
■コピー
彼らは、未来を求め踊り続ける。
■Ｌｉｎｋ
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