Ｇ．Ｉ．ジョー
バック２リベンジ
「Ｇ．Ｉ．ジョー」とは、元々ハズブロ社の男児向け兵士フィギュアで、要は男の子の戦争ごっこ用おもちゃです。
２００９年、そんなフィギュアのキャラクターたちが活躍する、映画「Ｇ．Ｉ．ジョー」が製作され、この映画は、その第二弾となる続編に当たります。
ただし、その内容も雰囲気も大きく変わったものになっており、事実上、続編と言うより仕切り直しのリブート作品、と言う趣になっています。
核弾頭がテロリストの手に渡るのを防ぐため、パキスタンに出動した、国際協力特殊部隊“Ｇ．Ｉ．ジョー”。
作戦は無事に終了したが、帰還の途に着いた彼らを、アメリカ軍が襲撃。
ロードブロック、レディ・ジェイ、フリントの３人を残して全滅してしまう。
“アメリカの敵”と名指しされ、救援を呼ぶこともできないまま、何とか帰国した彼らは、“Ｇ.Ｉ.ジョー”を設立した伝説の英雄、のジョー・コルトン司令官に助けを求めるが・・・
この映画、第一作が不評であったせいでしょうか、冒頭から仕切り直し色が濃厚。
第一作目の主役だったデュークをあっさり殺してしまい、ドウェイン・ジョンソン（元プロレスラーの“ザ・ロック”）を主役に据えて肉弾アクションを全面に押し出す。子供じみたガジェット類の登場は抑え、お色気もちょっぴり加えて対象年齢を引き上げ、女性に人気のイ・ビョンホンは主人公サイドに寝返らせてウケを狙う。そして、止めに、ブルース・ウィリスに助っ人を頼む、と。
そんな製作サイドの都合が見え見えなのには白けますし、物語も相変わらず粗雑。
主人公が危機に陥ったのに、その設定を活かせない物語には脱力しますし、イ・ビョンホン演じるストームシャドーの心変わりと、復讐譚も盛り上がりません。
また、前作ではエッフェル塔を倒しましたが、今回はロンドン市街を完全破壊。
アメリカってのは自国に歴史がないせいか、他国の歴史遺産を妬むように破壊する事があるけれど、これはさすがに如何なものか。
また、ここまで被害を出し、その首謀者を取り逃がしておいて尚、「自国の被害でないからまぁいいか」とハッピーエンドとして締めくくってしまうのには呆れます。（イギリス人が怒るぞ）
まぁ、これを娯楽作と見れば、確かにアクションは満載で退屈はしません。
特に、ヒマラヤの高山で繰り広げられる忍者とスネークアイズの戦いは見物。切り立った岩肌を舞台に、ザイルで身体を支えて垂直面を走り、跳び、切り結ぶ。
シルク・ドゥ・ソレイユの舞台演出で似たようなものがあり、そこから発案したものと思いますが、それを、スリル満点でスピード感に溢れた目新しい追走劇に仕立てたのは面白い。
ただ、見応えのあるのはこのシーン位で、後は何処かで見たようなアクションに終始。
公開を遅らせてまで取り入れた３Ｄも、さして効果的とは思えませんでした。
物語の終わりには“引き継がれる想い”を描くシーンもありますが・・・この映画がやらかしたのは「作り手の事情」で、引き継ぐべき内容を破壊し尽くしたと言う現実。
そんなチグハグさも気になりました。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
ジョン・M・チュウ
■出演
ロードブロック ・・・ ドウェイン・ジョンソン
レディ・ジェイ ・・・ エイドリアンヌ・パリッキ
フリント ・・・ D・J・コトローナ
ストームシャドー ・・・ イ・ビョンホン
スネークアイズ ・・・ レイ・パーク
デューク ・・・ チャニング・テイタム
ジョー・コルトン ・・・ ブルース・ウィリス
（その他のキャスト）
ジョナサン・プライス エロディ・ユン レイ・スティーヴンソン ルーク・ブレイシー ウォルトン・ゴギンズ
アーノルド・ヴォスルー ジョセフ・マッゼロ RZA ジェイムズ・カーヴィル ライアン・ハンセン
■コピー
斬られるか。撃たれるか。
■Ｌｉｎｋ
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