ＪＡＣＫＩＥ
ＣＯＧＡＮ
ジャッキー・コーガン
これは、ジョージ・Ｖ・ヒギンスの小説を、「ジェシー・ジェームズの暗殺」のアンドリュー・ドミニク監督が映画化したハードボイルド。
主演はブラッド・ピットで、「優しく殺す」のがモットーの殺し屋、ジャッキー・コーガンに扮します。
大統領選を目前に控えた２００８年秋、ニューオーリンズ。
ギャング傘下の賭博場が襲われ、金を奪われる事件が起こる。
ギャング組織の幹部は、この地域を仕切るディロンに事態の収拾を指示。病気療養中のディロンに代わって現れたのは、殺し屋のジャッキー・コーガン。
彼は、犯人たちに加え、再発防止のために賭博場のオーナーのマーキーも始末してしまえと言い出し・・・
物語の舞台は、ハリケーンによる洪水被害に遭ったニューオーリンズ。
未だ、洪水で建物が流されたまま復興していない寒々とした風景が印象的（勿論、そうした場所を探してロケしているのでしょうけど）。
映像はスタイリッシュですし、キャストの選択も悪くはありません。
また、映画の中で大統領選を控えての民主・共和両党の政治メッセージが流れ、その美辞麗句と、荒廃した街並みを背景にした殺伐とした人間関係を対比させ、そこに政治批判を込めたと言う試みも面白い。
ただ、この映画、それら全ての要素が噛み合わず、空回りしている印象。
（はっきり言えばまるで活かせていない）
物語は、ヘマをしでかした賭博場オーナーとチンピラを始末するだけで、アクションがあるでもなく、サスペンスも盛り上がりません。
そして、登場人物は、物語の筋と関係のない無駄話を延々と繰り広げる・・・こうした会話の応酬、タランティーノを意識しているようにも思います――まぁ、確かに原作も会話がだらだら続く展開ですが―
―が、あまり面白い物に仕上がっていないような・・・少なくとも私は面白くは感じませんでした。
政治メッセージとの絡みも、決まったのはラストのブラピの台詞一言だけで、他は殆どノイズに終わった印象。
確かに、解説されれば、「ああ、なる程」となる仕掛けもあるのですが・・・アメリカ人じゃないとピンと来ないんじゃないかなぁ？
（物語に投影されているのはサブプライムローン問題。マーキ−は投資会社で、呼び寄せた無能な助っ人は当時の財務長官そっくり、と言う・・）
退屈と言う程ではありませんでしたが、何かもどかしい感じのある映画でした。
（２０１３年 ５月３日 ＷＭＣみなとみらいにて）
（作品データ）
■監督
アンドリュー・ドミニク
■出演
ジャッキー・コーガン ・・・ ブラッド・ピット
マーキー・トラットマン ・・・ レイ・リオッタ
（その他のキャスト）
スクート・マクネイリー ベン・メンデルソーン リチャード・ジェンキンス ジェイムズ・ガンドルフィーニ
ヴィンセント・カラトーラ マックス・カセラ トレヴァー・ロング サム・シェパード スレイン リナラ・ワシントン
■コピー
その男は優しく、殺す。
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